シンドラーのリスト

発言に対する補足(その2)
FMOVIEで繰り広げられた『シンドラーのリスト』を巡る論争の一部。
映画の内容から離れた議論は意味がないという主張。by K. Hattori


 そうなんですよね。な〜んか映画を観ないうちから「スピルバーグはこういう人」という偏見で『シンドラーのリスト』を批判する人がいてちょっとウンザリしてます。僕は山本さんと違ってこの映画をそんなに高く評価するわけではないし、特に他人に勧めようと思う映画ではないけれど、観るに値する映画、観なければならない映画だと思っています。(観なければならない映画を人に勧めないのは矛盾しているようですが、このテの映画って勧めなくても観る人は見るし、勧めたって観ない人は観ないもんね。)

 とりあえず映画を観る前から「僕もこの映画を観ればこう思うはずだ」と断言してしまうのは反則だと思います。そういう人は永久に映画を観なくてもヨロシイ。他人の評判だけで映画を云々し続けていてください。

 「イスラエルだってパレスチナにひどいことをしてるじゃないか」という批判も的外れですね。こうした批判をしている人は、自分ではユダヤ問題通だと思っているのかもしれないけれど、はっきり言って自分の無知をさらけ出しているようなものです。イスラエルはユダヤ人国家だけど、国内にはパレスチナ系の国民だって抱えているし、ユダヤ人も含めた国民の中にはパレスチナの占領政策に反対している人たちだって多い。だからこそ今回パレスチナと和解して、占領地を返還することになったのです。イスラエル国外のユダヤ人も、自分たちの心の故郷としてイスラエルを支持している人が多いでしょうが、強権的なパレスチナ占領に反対する人もまた多いんだよね。「ユダヤ人=イスラエル人」という考え方は、根本的に間違ってるんです。こんなの常識です。

 『シンドラーのリスト』の原作者にシンドラーのエピソードを語ったペファーベルクというユダヤ人はシンドラーが助け出したユダヤ人のひとりでしたが、彼はロサンゼルスで鞄屋をしていました。ナチスに迫害されたユダヤ人の全てがイスラエルに移住したわけではありません。

 さらに言えば、ナチのホロコーストとイスラエルのパレスチナ占領とは別々に考えるべき問題であって、これをいっしょくたにして「イスラエルだってパレスチナにひどいことをしてるじゃないか」と論じるのはバカな理屈です。確かにイスラエルの建国当時、ホロコーストによるユダヤ人の受難に対する世界の同情を背にしてパレスチナを占領してしまったのは事実ですが、いまだにそうした因果関係でユダヤ問題をとらえるのはナンセンス。もしユダヤ人がパレスチナ占領という罪によってホロコーストを語ることを阻まれるとすれば、日本が例えば北朝鮮にミサイルを撃ち込まれたとしても、過去の植民地支配の歴史をかんがみて文句を言えないことになるでしょう。そ〜んなアホな理屈がまかり通りますかねぇ。

 あ。なんだか山本さんに対するコメントでも何でもなくなってきたけど、酔っぱらいなので許してください。

 なんにせよ、現時点で『シンドラーのリスト』批判として最もくだらないものは、観ていないのにこの映画を批判する勢力ですね。そういう方たちは出直してください。議論にならないので、僕はイライラしちゃいます。


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