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1999/08/19 SPE試写室
若者たちが巻き込まれる「さんざんな一夜」を描くオムニバス劇。
『スウィート・ヒア・アフター』のサラ・ポーリー主演。by K. Hattori


 『ヴァーチャル・セクシュアリティ』『ハード・キャンディ』と共に、NPG(New Power Generation)特集の1本として上映されるティーン映画。主演は『スウィート・ヒア・アフター』に出演していた美少女サラ・ポーリー。(ユマ・サーマンにそっくり!)スーパーでレジ打ちのバイトをしているロナは、家賃の滞納でアパートを追い出されそうになっている。何としてでも、今日中に380ドルを作らなければならない。友人たちとラスベガスに遊びに行くという同僚のサイモンと仕事を代わることで、少しばかりの金を手に入れたロナ。そんな彼女のところに、いつもサイモンからドラッグを買っているという男たちがやってくる。ここで薬を売りつけて利ざやを稼げば、家賃の支払いなど楽勝。ロナは地域の麻薬元締めであるトッドから、エクスタシー20錠を購入。だが少しばかりお金が足りない。同行した友人を借金のカタ代わにトッドの部屋に残し、意気揚々と取引場所のモーテルに向かったロナ。ところが、部屋の様子がどうもおかしい。これは囮捜査だ。ロナはとっさの機転でトイレに駆け込み、持っていた薬を全部便器に流してしまう。なんとか逮捕されることなく生還。だが薬をなくし、代金も回収できないのでは、友人をトッドのところから連れ戻せない。ロナはスーパーでアスピリンを盗んで容器に詰め、トッドに“薬を返却”することで無事に友人を取り戻すのだが……。

 1時間42分の映画は3部構成。第1部はロナの視点から、第2部は同じ時間をサイモンの視点から、第3部はやはり同じ出来事を囮捜査に協力する売れない役者コンビの視点から描いている。こうした構成は、タランティーノの『パルプ・フィクション』以降、ごく普通のものになった。この映画はそんな亜流作品(もちろん作っている本人たちは自分たちを亜流だなんて思うまい)の中でも、かなりデキのいい部類に入ります。映画のラストの方と冒頭とが、ぐるりと輪を描くあたりは、観ていてゾクゾクしてしまった。うまいなぁ……。

 3つのパートがそれぞれに個性的で、しかもどれも面白い。第1部は素人ドラッグディーラーと本職のディラーが登場するサスペンス、第2部は男たち4人のラスベガス旅行がドラッグと女と銃が原因でハチャメチャに崩壊するスラップスティック、第3部は強面の囮捜査官に無理矢理協力させられた役者コンビが味わう悪夢のような一夜をユーモラスに描く。それぞれ最初にタイトルが出て物語も区切られているのだが、僕はこのエピソードの中でどれが好きかなんてとても選べない。

 監督・撮影は『スウィンガーズ』のダグ・ライマン。出演はサラ・ポーリーの他に、『アイス・ストーム』のケイティ・ホームズ、『スクリーム2』のティモシー・オリファント、『ザ・エージェント』のジェイ・モーアなど、「どこかで観たことのある顔」もちらほら。特別に大きな予算をかけた映画でもなさそうだが、テンポがよくて最後まで面白く観られた。PG-12指定。

(原題:go)


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