200本のたばこ

1999/08/09 徳間ホール
1981年末の年越しパーティーに向かう若者たち。
出演者が豪華。エピソードも面白い。by K. Hattori


 1981年の大晦日。新しい出会いを求めて、若者たちがバーやパーティーに繰り出すお話。出演者が豪華。ベン・アフレックやコートニー・ラブ、ジャニーン・ガラファロ、クリスティーナ・リッチなど、名前の知られている若手俳優もぞろぞろ登場するし、名前はすぐに出てこないけど「いろんな映画でよく見る顔だよなぁ」と思うような人たちがわんさか出てきます。一応名前だけ書いておくと、ケイシー・アフレック(ベンの実弟)、デイヴ・チャペル、ギレルモ・ディアス、アンジェラ・フェザーストン、ギャビー・ホフマン、ケイト・ハドスン、キャスリーン・ケルナー、ブライアン・マッカーディ、ジェイ・モア、ニコール・パーカー、マーサ・プリンプトン、ポール・ラッドなど。時代背景もあって、映画は懐メロのオンパレード。エルビス・コステロが、本人役でちょっぴりゲスト出演しているのも見どころ。

 最近のアメリカ映画には、どういうわけか1980年代をあつかったものがある。『ウェディング・シンガー』もそうだし、『54』も'70年代末から'80年代にかけてが舞台だった。『プリティ・ブライド』も音楽は'80年代ぽかったな……。この時代は現代のアメリカ人にとって、手頃な懐メロ感覚であり、ノスタルジーの対象なんでしょうか。この映画は'80年代という近過去を舞台にしている点と、たった1晩の内に起こるさまざまな事件を描いている点で、ルーカスの『アメリカン・グラフティ』から強い影響を受けている。ルーカスは1973年に、それより11年前、1962年の青年像を描いた。『200本のたばこ』は1998年に、17年前の1981年を描いている。ノスタルジーの度合いで言えば、今回の映画の方が大きいのかもしれない。この調子だと、日本でも近い内に'80年代リバイバルが起きるに違いない。松田聖子の再起は近い!

 同じニューイヤー・パーティーに向かう途中、「まだ少し時間があるからちょっと飲もう」とバーに立ち寄る人たちを描いたグランドホテル形式の物語。どのエピソードが好きかは人によるだろうけど、僕は意外な純情ぶりを見せるコートニー・ラブのエピソードと、何をやっても鈍くさいケイト・ハドスンのエピソードがお気に入り。「初めてのデートは絶対に失敗できない」という気持ちが裏目に出て、どんどん最悪の状態にはまってしまうハドスン。インド料理屋の場面は、同情しつつも笑ってしまった。こういう間の悪いことって、あるよね。

 1時間42分の上映時間にはエピソードが山盛りで、観る人はその中のいくつかに必ず「ああ、こんなことってアルアル!」と共感できるはず。涙を流す大きな感動というのはないけど、観ているとついニヤニヤして、最後はハッピーな気持ちになれる。登場するのは背伸びして大人の世界をのぞき込もうとする少年少女から、迷いの多かった青春にケリを付けようとする人たちまで。この映画は'80年代に青春を送った40代の人たちから高校生まで、誰もが共感できる映画だと思います。

(原題:200 cigarettes)


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