オースティン・パワーズ
デラックス

1999/07/22 東京国際フォーラムAホール
パロディと下ネタ満載で文句なしに笑えるシリーズ第2弾。
人気映画の引用やパロディを探す楽しみも。by K. Hattori


 1960年代からやって来た時代錯誤でナイスなスパイの活躍を描いたコメディ映画『オースティン・パワーズ』の続編。主演は前作同様マイク・マイヤーズ。前回は1960年代のスパイが冷凍睡眠装置で1990年代に一種のタイムスリップをする物語だったが、今回はタイムマシンを使って再び1960年代へと逆戻り。ドクター・イーブルに盗まれたパワーズの活力源“モジョ”の奪還と、大がかりな地球脅迫計画を打ち破る。前作でパワーズのパートナーとなったヴァネッサ・ケンジントン(エリザベス・ハーレー)が思いもかけぬ方法で退場し、かわりにCIAのエージェント、フェリシティ・シャグウェルが登場するのも見どころだ。シャグウェルを演じているのは、『ブギーナイツ』『ロスト・イン・スペース』などで人気急上昇中のヘザー・グラハム。

 映画は最初から絶好調。前作で宇宙にすっ飛ばされたドクター・イーブルが地球に戻り、同時にオースティン・パワーズも妻を失って(なぜかは映画を観てのお楽しみ)シングルに逆戻り。新婚旅行で泊まったホテルの中を素っ裸で歩き回ったあげく、プールでバズビー・バークレーばりの大(?)レビューを披露する下品でケバケバしいオープニング・タイトルで大笑いさせた後も、映画はギャグに次ぐギャグで笑いが止まらない。僕はオープニングの水中レビューを見ただけでも、「これだけですべてOK!」と心の中で太鼓判を押しましたが、その後も次々に秀逸なギャグが飛び出し、映画のあいだ中ニヤニヤしっぱなしでした。今回は下ネタも多いのですが、映画のパロディも多くて楽しめます。

 前作では'60年代のスパイが'90年代にやってくることによるカルチャー・ギャップがギャグの源泉になっていましたが、今回は主人公たちが'60年代に戻るため、こうしたギャップが存在しない。物語のテイストは、おのずと前作とは違った物になっています。今回のギャグメーカーは、ドクター・イーブルと彼の8分の1サイズに作られたクローン“ミニ・ミー”、それにイーブルの実の息子スコット、イーブルの手下に加わった体重1トンのスコットランド人“ファット・バスター”など。前作でカメオ出演したものの、アメリカ版では出演場面をバッサリとカットされてしまったロブ・ロウが、今回は若きナンバー・ツーとして出演しているのも見ものかな。

 新ヒロインのヘザー・グラハムには期待していたんだけど、前作のエリザベス・ハーレーに比べると線が細くて迫力不足。'60年代のヒロインを演じるなら、もっとボリュームのあるグラマータイプか、逆にツウィギーのようにガリガリに痩せているかのどちらかでないと中途半端なのかもしれない。僕にはどうしても、ヘザー・グラハムが'60年代の女スパイには見えなかった。また、脚本段階でもっとキャラクターをふくらませておくことも必要だったと思う。オースティンと並ぶと、どうしても見劣りしてしまうんだよね。それが'60年代スパイ映画の典型的なヒロイン像なのかもしれないけど……。

(原題:AUSTINPOWERS: THE SPY WHO SHAGGED ME)


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