○ママの贈り物(LE CADEAU DE MAMAN)20分
母親に誕生日に香水をプレゼントをしようとした少年が、小遣いをかき集め、自分のマンガ本を売り払い、何とか買物に成功する。ところが意地悪な姉がそれを隠してしまう……。お金が足りず、少年が万引きをする場面が最高にスリリング。安易な妥協を許さず、少年が自分の才覚でお金を工面する様子は観ていて気持ちがいい。クスクス笑い、ドキドキし、ホロリとさせる場面もあり、最後はニッコリ。パトリック・アルピヌ監督作品。
○最後の手段(EN DESESPOIR DE CAUSE)25分
求職活動中の中年男が、訪問先企業の社長と直談判するためにエレベーターに立てこもる。エレベーターに閉じこめられた3人の人間の関係は煮詰まって行くが、内部の様子は外部もモニターされ、ビル職員や他の従業員たちの共感を呼ぶ。よくできたシチュエーション・コメディ。エレベーターの扉に受付嬢(と呼ぶにはトウがたちすぎか?)のスカートがはさまって身動きがとれなくなるのだが、その行方には場内で拍手喝采。それまで融通のつかない嫌なヤツだった彼女が、この一瞬で可愛い女に変わってしまう。映画本来のオチより、この場面が一番面白かった。監督はヴァンサン・ルーリー。