チャイルド・プレイ
チャッキーの花嫁

1999/06/03 GAGA試写室
人気シリーズ第4弾で、ついにチャッキーが結婚してしまった!
教訓。どんなに安全だと思っても避妊はしよう。by K. Hattori


 殺人鬼チャールズ・リー・レイの魂が乗り移った人形のチャッキーが、またまた復活して殺人行脚を再開。シリーズ第4弾となる本作では、チャールズの元ガールフレンド、ステフも人形に乗り移り、チャッキーと行動を共にする。凶暴な殺人人形が2体になって、恐さも面白さも2倍になった。原題の『Bride of Chucky』は、カルト的なホラー映画『フランケンシュタインの花嫁(Bride of Frankenstein)』をもじったもの。劇中でもオリジナルの映画が引用されている。今回のチャッキーは、顔中ツギハギだらけのフランケンシュタイン状態。せっかくここまでやったのなら、オープニングのユニバーサルのロゴも、1930年代風にすれば良かったのに……。基本的に低予算のホラー映画だから、そんな余分なお金は掛けられないのかもしれないけど……。

 じつは前3作をまったく観ていないのですが、この映画は『スクリーム』以降のホラー・トレンドを取り入れて、映画マニアにはたまらないパロディや引用のオンパレードになっている。台詞の中に「ボニーとクライドや、ミッキーとマロリーみたいだ」というのがありましたが、前者は『俺たちに明日はない』に登場した実在の強盗カップルで、後者は『ナチュラル・ボーン・キラーズ』の主人公たち。この映画の中では、現実と虚構が完全に一体化しているのです。『ナチュラル・ボーン・キラーズ』は「映画のせいで犯罪が起きた」と訴えられている、今アメリカでもっともホットな映画。そんな知識がちょっとあると、この引用の意味が見えてくる。

 この映画でもっとも気の毒なのは、チャッキーとステフの旅に巻き込まれてしまう、若い駆け落ちカップルでしょう。因縁のある人形だと知らないままチャッキーたちを車に乗せていたふたりは、行く先々でチャッキーたちが起こす殺人の罪をすべて負わされてしまう。それどころか、愛し合うカップルは互いが疑心暗鬼に陥る始末。ふたりのよき相談相手として、人当たりのいいゲイの青年が登場するあたりが、やっぱり今の映画です。『ベスト・フレンズ・ウェディング』における、ルパート・エヴェレットみたいなポジション。この友人が無惨な最後を遂げるシーンは、その唐突さがショッキングを通り越して、むしろ痛快ですらありました。(ゲイが嫌いなアメリカ人は、ここで拍手喝采なのだろうか?)

 ストーリーそのものは単純だし、展開にはご都合主義も多く、オチの付け方も使い古された陳腐さ。しかしそうしたありふれたパターンゆえに、安心して観ていられる部分もある。人形が人間を殺しまくるという基本アイデアに、今回は花嫁人形まで付けたので十分。その上さらに物語本体までヒネリを効かせると、薬味ばかり多いソウメンみたいで美味くないのです。

 チャッキーとステフのツーショットは、「サンダーバード」みたいで懐かしい気分になってしまった。今回の映画はちょっとロマンチックな部分もあるし、案外デートムービーにはいいかもしれません。面白いよ。

(原題:Bride of Chucky)


ホームページ
ホームページへ