逮捕しちゃうぞ
the MOVIE

1999/04/02 東映第1試写室
コミック、OVA、TVで人気の作品が劇場用にパワーアップ。
僕にとってはご近所映画。観ていて燃えた!by K. Hattori


 原作コミック、OVA、TVシリーズなどで、着実にファンを獲得している人気作品が、初の劇場映画になった。こういう作品の場合、それまでに開拓したファンを確実に囲い込むことで劇場映画のヒットが確実になるんでしょうし、長年に渡って作品を支えてきたファンの期待に応えるだけの作品になっているかが、評価のポイントになるのかもしれません。ところが、僕はこの原作も知らないし、OVAも見てないし、TVシリーズがあったことすら知らないんだよね。つまり、僕はこの劇場版を観るのが、『逮捕しちゃうぞ』という作品に触れる初めての体験だったというわけ。登場するキャラクターにも馴染みがないし、作品世界の設定等にも無知。そんな僕が観ても、この映画はかなり面白いと思いました。僕は『踊る大捜査線/THE MOVIE』も、TVを見ないまま映画だけ観て面白がってましたが、この『逮捕しちゃうぞ/the MOVIE』もそれに負けずに面白かったです。

 映画の最初に太平洋戦争中の不発弾処理の話が出てきて、映画の途中からは謎のキーワード「蜂一号」が出てくる。僕はてっきり導入部のエピソードが伏線になって、「蜂一号」が「815(8月15日)」につながるのかと思ったら、ぜんぜん関係なかった。関係がないとなると、映画の冒頭にある不発弾処理のエピソードだけが全体から浮いて見えてしまう。ひょっとしたら最初は伏線にするつもりで脚本を書いたんだけど、「蜂一号=815」という連想が若い観客には通じないとみて、急遽やめてしまったのかもしれない。

 映画の舞台は墨東署(墨田区)周辺なのだが、錦糸町は僕が以前勤めていた会社の近くで、いわばご近所感覚。芝公園も、前の勤務先から歩いて数分だったんだよね。映画のクライマックスは隅田川でのボートチェイスになり、中央大橋、佃大橋、勝鬨橋など、どれも我が家から歩いて数分の距離にある場所が舞台になっての大アクションシーンが展開。これには燃えたぜ。一番感動したのは、30年間上がったことのない勝鬨橋が跳ね上がり、開口部を船がすり抜けて行く場面。よく考えると、あそこで船を通す必要なんてまったくないのです。勝どきを横切る運河を水門で封鎖して、豊海水産埠頭と浜離宮の間で待ちかまえていても、何ら問題はないはずなんですから。もちろんそんなことは作り手も重々承知の上でしょうが、それでもあえて勝鬨橋を上げてしまうところがいい。このあたりは物語がテンポよく進んでいくので、こうした不合理はあまり気になりません。僕は勝鬨橋が上がるだけで大満足。この映画は、中央区民必見だ!

 話そのものは映画『機動警察パトレイバー2』みたいなところもあって、新鮮味はあまり感じられません。しかし、話の要所要所に見せ場を作り、畳み掛けるように話をラストまで進めてゆくのはうまい。婦人警官たちがスカートを裂いて銃撃戦に挑むなんてありがちな展開だけど、こういう場面が決まるべき時にきちんと決まるとかっこいいのです。じつに楽しい映画でした。


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