ベイブ
都会へ行く

1999/02/03 UIP試写室
大ヒットした動物ファンタジー映画『ベイブ』の続編。
サービス精神旺盛だが話は薄い。by K. Hattori


 最新鋭のアニマトロニクス技術とCGを駆使して、子豚が牧羊犬コンテストで優勝するまでを描いたファンタジー映画『ベイブ』。大ヒットしたこの映画の続編が、この『ベイブ/都会へ行く』だ。前回は製作を担当していたジョージ・ミラーが自ら監督しているのだが、これが以前『マッド・マックス』シリーズを撮っていた監督とは思えないようなチャーミングさ。前作は完成度が高すぎたのでそれを凌ぐのは難しいが、続編映画としては及第点を上げられる作品に仕上がっていると思う。

 物語は前作のラストシーンのすぐあとから始まる。牧羊犬コンテストで優勝し、意気揚々と農場に帰ってきたベイブとご主人のホゲット氏。ふたりのもとには世界中からイベント出演の依頼が舞い込むが、静かな生活を好むホゲット氏はそれをすべて断ってしまう。ところが不慮の事故からホゲット氏が大けがを負い、農場は借金のカタに取り上げられそうになってしまう。ホゲット夫人とベイブは、借金返済のためにイベント出演を決心するのだが、途中の空港で警備員に足止めされて計画は挫折。飛行機を待つ間、夫人とベイブは町の怪しげなホテルに宿を取ることになったのだが……、といったお話。

 物語の舞台が大都会に移ったことで、登場する人間の数は増え、動物の顔ぶれは豊かになった。当然いろいろな事件が次々に起こる。僕は前作『ベイブ』の持っていた、のどかで牧歌的なテンポが好きだったので、『ホーム・アローン』ばりに変身した続編のドタバタには少し戸惑ってしまった。しかし、前作と同じことをなぞるなら、何も続編など作る必要はない。ベイブの主人は長身痩躯の無口なホゲット氏から、太っておしゃべりなホゲット夫人に替わり、ベイブの後見人も優しい犬から凶暴な犬に替わる。みんなに応援されながら大きなことを成し遂げた小さなベイブは、今回みんなのリーダーとして動物たちの危機を救うのだ。現代のおとぎ話も、盛大なドタバタ・コメディに姿を変える。

 動物の種類が多いので、それだけでも結構面白く観られます。前回は動物トレーナーの仕事と特撮にある程度の区別が付いたけど、今回はどこまでが実際の動物で、どこからがロボットやCGなのかまったくわかりません。僕はチンパンジーやオランウータンの芝居に感心してしまった。カメラマンが優秀なのかもしれないけど、あらかじめ決められたコースをきちんと走ったり、柱をよじ登ったりしているように見える。他の動物とのからみもじつに自然で、まるで本当にチンパンジーやオランウータンが人間の言葉を喋っているように見えます。『猿の惑星』をこの技術で作ると、凄いものになりそう。

 映画としてはドタバタばかりに終始してしまって、ドラマ部分が薄くなっているのは不満です。ホテルの女主人のキャラクターはもう少し掘り下げないと、ラストシーンが生きてこない。往年のミュージカル・スターだったミッキー・ルーニーも、せっかく登場しているのにあっという間にいなくなっちゃうし……。

(原題:BABE / Pig in the City)


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