メリーに首ったけ

1998/10/02 よみうりホール
キャメロン・ディアス主演の爆笑ラブ・コメディ。ちょっと下品。
とにかく笑えてちょっとHなデート・ムービー。by K. Hattori


 卒業から10年以上たったというのに、高校時代に好きだった女の子、しかも熱烈な片思いだった相手のことを思いだして、胸の中に何やら甘酸っぱいものがこみ上げてきた経験はないだろうか。この映画の主人公テッドは、学年で1番の美女メリーのことが、どうしても忘れられない。高嶺の花だった彼女に卒業式のプロムに誘われたのに、不慮の事故でそれをフイにしてしまった苦い思い出が今も胸を締め付ける。卒業式の後、彼女は急に遠くに引っ越して、それからはすっかり音信不通になってしまった。卒業から13年。彼女は今どこでどうしているだろうか。結婚してしまっただろうか。もう自分のことなどすっかり忘れてしまったに違いない……。実ることのなかった初恋の苦しさに決着をつけるべく、テッドは私立探偵を雇ってメリーを探したのだが……。

 男たちのあこがれの的メリーを演じているのは、『ベスト・フレンズ・ウェディング』『普通じゃない』のキャメロン・ディアス。優柔不断なテッドを演じているのは、『リアリティ・バイツ』や『ケーブル・ガイ』の監督としても知られるベン・スティラー。テッドに雇われる怪しい私立探偵パット・ヒーリーを、マット・ディロンが演じている。監督・脚本は『ジム・キャリーはMr.ダマー』『キングピン/ストライクへの道』のファレリー兄弟。相変わらず下品で、差別的で、下らなくて、しかも滅茶苦茶に面白いギャグが満載の映画になってます。この映画に出てくる、障害者(知的障害と両足の麻痺)を使ったギャグや、病気(神経性のじんましん)を使ったギャグ、過激な動物虐待シーンなどには、良識のある大人なら誰しも眉をひそめるでしょう。この手の映画を楽しむには、へたな良識などない方がよさそう。それにこの映画の中では、障害者や病気そのものをバカにしているわけではないのです。結構スレスレですけどね。

 映画に登場する男たちが次々メリーの魅力の虜になってしまうという、単純といえばこの上もなく単純なアイデアの映画です。こうした単純なプロットを生かすには、男たちを魅了してやまないヒロインに、誰もが納得する魅力的な女優をキャスティングする必要がある。よく日本のテレビや安っぽい映画では、ちょっとかわいい程度のアイドルタレントがものすごい美女と称して出演し、観客を白けさせることがあります。でもこの映画のキャメロン・ディアスには、そうした無理がない。彼女が優秀な整形外科医に見えるかどうかは別としても、彼女が美人であることは誰もが認めるだろうし、映画に登場するメリーの人柄を誰もが好ましく思うでしょう。

 インチキっぽい探偵にマット・ディロンをキャスティングしたのも大正解。彼は本物の二枚目ですから、彼に魅力を感じる女性がいてもおかしくない。ヒーリーのような男に舌先三寸でだまされる女性は愚かだと思いますが、そのヒーリーを演じているのがマット・ディロンだと、だまされるメリーが愚かには見えないのです。この映画は、このキャスティングで大成功しています。

(原題:There's Something About Mary)


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