借王〈シャッキング〉Vol.3

1998/06/16 徳間ホール
哀川翔、夏樹陽子、志賀勝が主演のピカレスク・ムービー。
今回は借王たちが大物総会屋に挑む。by K. Hattori


 ビデオ店ではかなりの高回転を誇る作品だそうですが、過去2作は未見。3作目からでも話自体はわかりますが、各キャラクターの持ち味などは、やはり過去の作品を観た人の方が親しみがもてるだろうし、思い入れも大きくなると思います。今回は3作目と4作目を連続上映する試写会だったのですが、映写機の故障でフィルムを1ロールずつバラバラに上映するという、映画鑑賞としてはかなりひどい状況になってしまいました。僕は時間もなかったし腹も減ってきたので、4作目は観ないで帰ってきてしまった。本当は和泉聖治監督が撮った4作目に期待していたのですが、事故みたいなものですから仕方ない。ちなみに3作目の監督は香月秀之。シリーズ4作のうち、1作目と4作目を和泉監督が撮り、2作目は和泉・香月共同監督、3作目は香月監督が撮っている。舞台挨拶では日活の中村社長が、あと10本ぐらいはシリーズを続けたいと挨拶してました。

 主人公3人は、それぞれ数億円の借金を抱えた人たち。彼らが借金の穴埋めをするために、世の悪党たちを騙して金を巻き上げるというのが、シリーズの基本コンセプトのようです。哀川翔扮する銀行員・安斉はハードボイルな頭脳プレイ、夏樹陽子扮するクラブのママ・怜子は変装、志賀勝扮する大阪府警警部補はトラブルメーカー兼コメディリリーフと、それぞれ役割が決まってます。彼らは借金返済のためにチームを組み、危ない橋を渡っては、悪党たちから一度に数億円の金を騙し取る。この不景気な世の中で、金をうなるほど持っているのは悪党に決まっていますから、そこから金を奪って逃げる「借王(シャッキング)」たちの活躍ぶりは痛快です。

 今回のターゲットは、萩原流行扮する大物総会屋・堂島銀太郎。経営コンサルタントを名乗る彼は、大手建設会社・ミヤノ建設の与党総会屋として、会社の汚れ仕事を一手に引き受けている。ミヤノ建設が進める産廃処理場の建設用地買収にも、堂島が深く関わっているらしい。地域住民の抗議運動は、堂島が暴力で封殺。そんな会社と総会屋のやり方に反撥して馘首になった社員を巻き込んで、借王たちの戦いがはじまる。

 なにしろ前記したような上映環境だったので、この映画について、話の筋以上のことはあまりコメントしたくないです。全体に観た印象としては「かなり面白い」と思いましたが、後半のサスペンス描写がブチブチ途切れながらの鑑賞だったので、この評価に自信はない。いずれ1〜4までまとめて見てみようと思います。

 公開方式として、3,4作目を2本立てで公開することになってますが、1,2作目の時も同じような公開形態でしたから、今後も2本づつ製作公開して行くことになるのでしょう。もちろんこれは、ビデオ発売前の箔付け公開に過ぎないのでしょう。舞台挨拶では「いずれ大作も作りたい」という話でしたから、いずれスペシャル版として大掛かりな映画が作られるかもしれません。今回は、なんだか漠然とした評になってしまったな……。


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