スクリーム2

1998/06/03 有楽町朝日ホール
「パート2映画はつまらない」というジンクスと無縁の大傑作。
恐怖と笑いの絶妙のブレンドにクラクラします。by K. Hattori


 昨年公開された『スクリーム』は、それまで数多く作られたホラー映画を縦横に引用したケヴィン・ウィリアムソンのマニアックな脚本と、『エルム街の悪夢』シリーズで知られるウェス・クレイブンの熟練した恐怖演出がぴたりとはまって出来た、奇跡のような傑作だった。ヒット作の続編を作るのは今やあたり前のことだけど、その難しさは映画業界人も映画ファンもよくわかっている。しかしこの『スクリーム2』は、その難しいところにあえて踏み込み、見事に成果をものにした作品だ。登場人物のキャラクターやエピソードなどで、前作を引用している点がかなりあるので、これはあらかじめ『スクリーム』を観ておく必要がある。

 今度の物語は、事件の2年後です。事件の生存者であるシドニーは大学生になり、もうひとりの生き残りランディも同じ大学に通っている。レポーターのゲイルは事件取材の結果を「ウッズボロー高校生連続殺人事件」というノンフィクションとして出版し、時の人となっているの。その本を原作にした映画『スタブ』の試写会場面から、今回の『スクリーム2』がはじまります。この劇中映画はすごく凝った作りになっていて、『スクリーム』が好きな人なら必ず嬉しくなることでしょう。何しろ、再現シーンで『スクリーム』のフィルムを使い回しするような、ケチなまねはしていない。画面を見るかぎり、全部新たに撮影し直したようです。しかも、単純に前作をコピーするのではなく、少しずつ、よりB級ホラーテイスト方向にアレンジしている。

 前作ではオープニングに登場するゲストスターとしてドリュー・バリモアが出演していましたが、今回は『ナッティ・プロフェッサー/クランプ教授の場合』のジェイダ・ピンケットが登場。前作からはネーヴ・キャンベル、コートニー・コックス、デイヴィッド・アークェット、ジェイミー・ケネディなどの「生存組」が全員再登場して、続編映画に欠かせない「同窓会気分」を盛り上げます。これらのキャラクターは前作とまったく同じ人物ではありません。前回の事件を経験して、人間として成長した様子が見えるようになってます。こうした細部の設定までが、きちんと「2年後の世界」なのです。

 前作同様、中身は犯人探しのホラー・ミステリーなので、内容や物語について細かく書いてしまうのは野暮というもの。前作を観ればわかる通り、このシリーズはどんな犯人でもアリですから、最後の最後まで一瞬たりとも気が抜けないことは保証します。『スクリーム』のファンなら、前作のパターンから今回の犯人像を逆読みするでしょうが、製作者たちはそんな観客の予想の裏をかき、こちらの心理的盲点をグサリと責めてきます。最後には観客全員が「そんな馬鹿な!」「畜生、やられたぜ!」と降参するでしょう。

 クライマックスはハラハラドキドキ、爆笑また爆笑、最後の最後に少しホロリとさせる落ちまでついて、大満足の2時間2分でありました。これは大推薦です。

(原題:SCREAM 2)


ホームページ
ホームページへ