ブルース・ブラザース2000

1998/05/07 UIP試写室
カルト映画『ブルース・ブラザース』の18年ぶりの正式続編。
音楽場面では自然に身体が動き出す。by K. Hattori


 1980年に作られた傑作映画『ブルース・ブラザース』の続編。前作は「名作」や「傑作」という評価より、今や「カルトムービー」として評価が高い作品でしょう。あの映画は、ジョン・ベルーシとダン・エイクロイドというタレントと、あの当時のジョン・ランディス監督が持つみずみずしさ、それに豪華キャストなどがあって成立していた、一世一代の作品でした。ジョン・ベルーシが死んでいるのだから、同じことをやろうとしたって二度とできない。それは、今回の映画を作った連中だって重々承知のことでしょう。にもかかわらず、今回ダン・エイクロイドやジョン・ランディスがこの続編を作ったのは、彼らがブルース・ブラザースというバンドを愛し、それ以上にR&Bという音楽を愛しているからです。

 今回の映画は、物語の点ではかなりデタラメなところがあるし、あちこちに大小の傷がある映画になっています。でも『ブルース・ブラザース』が大好きな人なら、この映画のそんな欠点にはまるで目をつぶってしまうに違いない。この映画は、前作の続編として中途半端な物だけは作るまいという、製作者たちの意気込みがびしびし伝わってくる、力強い映画に仕上がっているからです。ジョン・ベルーシはもういない。ダン・エイクロイドも年を取ったし、太ってしまった。ジョン・ランディスの演出に、かつての切れ味はない。彼らはそんな自分たちの弱点を承知の上で、それを個人的な努力と工夫で乗り越え、人様に見せても恥ずかしくない続編を作ろうとがんばっている。それはもう、涙ぐましいほどです。

 なによりすごいのは、最近はデブデブに太っていたダン・エイクロイドがすっきりと痩せ、エルウッド・ブルースの18年後として違和感のない身体に仕上がっていることです。話には聞いてましたが、見ると聞くでは大違い。画面に登場したエルウッドを見ただけで僕は感激してしまい、この映画に対する評点が極端に甘くなってしまいました。でもこれはどこの誰が観たって、同じように感激すると思いますけどね。

 映画はジェイクの死を、エルウッドが知らされる場面から始まります。行方不明とか、まだ刑務所にいるとか、別行動をとっているとか、そういう逃げを使わず、観客が誰もが知っている「ジョン・ベルーシの死」を、この映画が正面から受け止めていることを宣言しているわけです。ブルース・ブラザースの父親代わりだったカーティス(キャブ・キャロウェイ)も、この世にはいません。映画の冒頭にある、ジョン・ベルーシ、キャブ・キャロウェイ、ジョン・キャンディへの献詞からもわかる通り、これは死んでいった者たちに捧げられた映画なのです。

 続編映画のお約束である、前作の出演者勢揃いが見られるのが楽しい。特にミュージシャン関連は、前作以上の豪華さかもしれない。女優陣がさびしいので、本当はキャリー・フィシャーやツィギーにも再登場してほしかったんだけど、音楽演奏シーンがあまりにも楽しいのでそうした部分には目をつぶりましょう。

(原題:BLUES BROTHERS 2000)


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