マーズ・アタック!

1997/01/21 丸の内ピカデリー1
(完成披露試写会)
これを観ると『インデペンデンス・デイ』が大味でスカスカに感じる。
ティム・バートンはやっぱり大した奴だよネ。by K. Hattori



 ほぼ同時期の公開ということもあり、同じ「宇宙人の地球侵略」というテーマの『インデペンデンス・デイ』と比較してしまうのだが、僕が見たところこれは『マーズ・アタック!』の圧勝だ。『インデペンデンス・デイ』にはキングギドラのおもちゃがチラと登場し、エメリッヒ監督の次回作『ゴジラ』を予感させましたが、『マーズ・アタック!』には正々堂々と本物のゴジラが登場するぞ! その一事をとっただけでも、『マーズ・アタック!』の勝ちは揺るぎないのじゃ。思いがけず、幻となったティム・バートン版『GODZILLA』を観られて得した気分。

 出演俳優たちもすごく豪華。しかもすごく贅沢な使い方をしている。「え〜、この人がここでこうってしまうわけ?!」と、思わず我が目を疑ってしまうような展開の連続。ジャック・ニコルソン、グレン・クローズ、アネット・ベニング、ピアーズ・ブロスナン、ダニー・デビート、マイケル・J・フォックスなど、ひとりで主演映画が1本作れる俳優たちが大挙して登場。こうした豪華キャストが、揃いも揃って「え、マジ? うっそ〜!」という役回りなのです。全部一見の価値はあるよ。

 物語は古典的な火星人襲来物で、UFOは円盤型だわ、火星人は緑色の小人で金魚鉢みたいなヘルメット姿だわ、やたらと光線銃を乱射するわ、しっかりオールドファッションの宇宙人しているのがウレシイ。全部CGで作ったという火星人たちは、グロテスクな風貌ながら行動がなかなかお茶目。グレムリンさながらの乱暴狼藉ぶりも含め、だんだん彼らがイトオシク感じてくるのはなぜでしょうか。部屋にぬいぐるみを飾っておきたいくらいカワイイぞ。火星人の持っている光線銃もほしい。

 古典的なスタイルを借りながらも、この映画は古いSF映画のパロディというわけではなくて、十分に新しい面白さを持っている。道具立てだけを新しくして、物語が新しくなっていなかった『インデペンデンス・デイ』とはそこが違うのだ。ちりばめられたギャグやユーモアは、誰にでもわかるものからマニアックなものまで盛りだくさんなんだけど、どれも研ぎ澄まされた品の良さを保っている。ハチャメチャな大バカ映画であるにも関わらず、作りはいたって繊細で丁寧なものです。

 最後に思いもよらず大活躍するシルビア・シドニーは、1920年代から活躍する大ベテラン女優。ティム・バートンとは、『ビートルジュース』でも仕事をしてます。この映画に限らず、バートン監督は今のハリウッドの監督には珍しく、老人の使い方が上手いですね。古い映画俳優たちに対する尊敬の念が、彼の映画からは見て取れる。『エド・ウッド』なんて、彼のそういう資質をモロに反映した映画でしたし……。

 最初から最後までゲラゲラ笑いながら観ていたんですが、中でもリサ・マリー演じる火星人スパイはユニークだった。あのチューインガムのかみかた、歩き方、小走り。どれも最高におかしい〜。今も思い出し笑い。クス。


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