ビューティフル・ガールズ

1996/09/03 九段会館(試写会)
ナタリー・ポートマンがいなかったらこの映画の魅力は半減。
『レオン』で彼女に注目した人には必見の映画。by K. Hattori



 マット・ディロン、ティモシー・ハットン、ユマ・サーマン、ミラ・ソルヴィーノ、ローレン・ホリーなど、僕と同世代の登場人物が織り成す青春時代の終焉。本来我が事のように感情移入してもいい話のはずなのに、結局ナタリー・ポートマンしか印象に残らなかった。ティモシー・ハットンが彼女に心を動かされる気持ちはよくわかるのだが、ポートマンがハットンに惹かれる気持ちはわからんなぁ。どこがいいんだ。ああ、これは僕の嫉妬だな。映画の登場人物に嫉妬するなんて、僕もどうかしている。それぐらいこの映画の彼女は素敵だった。

 『レオン』でデビューした彼女だけど、僕は残念なことに『レオン』という映画自体あまり好きではないのです。あの映画のポートマンは、老けた顔をして世の中のすべてを知ったような表情を見せる、生意気で嫌なガキに過ぎない。『ヒート』でもアル・パチーノの義娘役で出演していた彼女だけど、これはほんのチョイ役で、映画の中でも自分をアピールしようと自殺未遂騒ぎを起こすけど、どうもパッとしなかったからなぁ。あれは別にポートマンでなくてもつとまる役でしょ。

 その点この『ビューティフル・ガールズ』では、ポートマンが子供の無邪気さと同時に女の色気を併せ持つ思春期の少女を好演し、僕の心臓を鷲づかみにしてしまった。仮に『レオン』がなくても、この映画だけでポートマンの代表作になるだであろう存在感。芝居や演技をまったく感じさせない、本当にそこにマーティという少女がいるとしか思えない彼女の仕種や台詞は、この映画の中でも燦然と輝く宝石です。スケート場の場面では、すごーく遠くに彼女がいることを、多分僕はティモシー・ハットンより先に見つけたぞ。

 彼女が「あと5年待ってくれれば私は18よ」と詰め寄る場面はドキドキした。僕なら思わず「待ちます待ちます、5年でも10年でも待ちます」と叫びかねないなぁ。ティモシー・ハットンが「僕はプーで、君はクリストファー・ロビンだ。クリストファーはいつかプーと遊ぶことに飽きてしまう」と言うのもわかるんだけど、「駄目もとで5年待つのも悪くないかなぁ」と思わないでもないな……。ハットンが家に婚約者を連れてきたときなんて、彼女泣いてたもんなぁ。彼女の言葉は冗談めかしているけど、やっぱり本気なんだよね。

 家の前でうろうろしている時、隣の庭にポートマンの姿がないかどうか見回したり、家を離れる時も彼女が表に出てくるのをそわそわ待ち焦がれていたりするハットンの気持ちは、ほとんど「恋する少年」と化しています。それは否定のしようもない事実。30男が13歳の女の子に恋するなんて変かもしれないけど、脚本の力とポートマンのキャラクターがこの恋に必然性を持たせ、二人の関係を不潔な感じにしていないのがいいね。

 酒場で男たちが歌う「スウィート・キャロライン」が印象的でした。映画の最後には、ニール・ダイヤモンドのオリジナルがかかります。これは名曲だなぁ。


ホームページ
ホームページへ