ドロップ・ゾーン

1995/02/08 日比谷映画
ウェズリー・スナイプスがスカイダイビングで犯人を追いかける。
ジョン・バダムのアクション演出が映える。by K. Hattori


 ウェズリー・スナイプス主演のスカイダイビング刑事アクション。ジャンボジェットから護送犯を強奪する手際のよいアクションは水準以上のできだが、CGを使ったこの場面以上にダイナミックで手に汗にぎるのは、やはり今回売りのスカイダイビング・シーンだろう。映画館の広い画面を、風切り音を響かせながら猛スピードで横切って行くダイバーたちの姿。独立記念日の夜、首都ワシントンの上空で繰り広げられる、ダイバーたちの集団演技。すごい。

 度肝を抜かれるのは、犯人を追うスナイプスがダイビング教習所を訪れると、突然パラシュート無しで飛行機の外に放り出されるシーン。それを後から女教官が追いかけて空中でキャッチし、タンデムで着地するのだが、落ちたところがちょうど浅い池のような所で、スナイプスの下半身はべちょべちょ。でも、スナイプスの下半身が濡れているのは、池のせいだけではあるまい。濡れたズボンを気にしながら、気持ち悪そうに車に乗り込むスナイプス。あれは絶対にオシッコちびっています。

 監督のジョン・バダムは、『アサシン』で僕を失望させた監督なんだけど、今回の映画には参った。ま、これは『ブルーサンダー』の焼き直しだけどね。

 『ブルーサンダー』は後にテレビ版までできた傑作アクション。あの映画ではロイ・シャイダー扮する警官が、警察内部の不正をあばくためにマルコム・マクドウェルとヘリコプター同士で対決するが、今回の『ドロップ・ゾーン』では、連邦保安官スナイプスが、元麻薬捜査官ゲーリー・ビジーとスカイダイビングで対決する。『ブルーサンダー』では、敵役マクドウェルの細工でシャイダーのヘリが墜落するシーンがあったが、『ドロップ・ゾーン』でも犯人のひとりがスナイプス側のパラシュートに細工して、チームのひとりが墜落するシーンがある。

 チームで降下中に、仲間のひとりのパラシュートがからまってうまく開かない。切り放して予備のパラシュートを開こうとするが、今度はそれが最初から開かない。どんどん高度は下がって行く。仲間のひとりがパラシュートを切り放して、これを追跡するが、果たして間に合うか……。続きはナイショ。

 犯人たちは高度なダイビング技術で、警備の手薄な警察署最上階近くのコンピュータ室に侵入。ジャンボから誘拐した天才的ハッカーに覆面捜査官の資料を盗ませ、それを高額で麻薬マフィアに売る。この大胆不敵さと、秒刻みのチームワーク。殺されてしまう警官はお気の毒だが、この構成は見事だ。

 それにしても、この展開でスナイプスと女教官がくっつかないあたりが、ハリウッドのリアリズムなのかしらねぇ。これが白人同士なら、もっとすんなり行くんでありましょう。『ペリカン文書』に続いてだから、ちょっと気になりますなぁ。


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