100発100中

1995/02/04 大井武蔵野館
宝田明って昔からこういうキャラクターだったのね。
抱腹絶倒の和製スパイ・アクション映画。by K. Hattori


 ルパン三世ファン必見の、昭和40年作品。ブルース・ウィリス主演の『ハドソン・ホーク』は実写版ルパン三世という雰囲気の映画だったけれど、この映画はそれ以上。ルパン三世では、タイトル文字の「ン」の一部が弾丸(薬莢付き)をあしらったレタリングになっているのが印象的だけど、それはこの『100発100中』からの引用だったのだね。この映画では「発」の文字に、やはり弾丸(これまた薬莢付き)が入れ込んであります。テーマ曲も、なんだかソレ風だぞ〜。

 宝田明演ずるインターポール刑事(?)の軽さは、ルパン三世以上。宝田のキザったらしいキャラクターが嫌味にならならない程度に誇張されていて、すごくおかしい。もう少しハードにして声を山田康夫にすると、これはルパン三世になる。そうそう。ラストシーンで敵のボスを射殺するあたりは、ちょっとハードで、ルパン三世していたぞ。

 他のキャラクター造形は、そのままルパン三世に引き継がれている。有島一郎演ずる刑事は、そのまんま銭形刑事に通じるしね。でも、なんたって浜美枝演ずる女殺し屋。彼女の峰不二子ばりの活躍には大喜びしちゃう。彼女と宝田の関係や会話のテンポなんて、まるっきりルパン三世シリーズのまんまだぞ。峰不二子のキャラクターというのは、絶対にこの浜美枝をモデルにしているに違いない。

 作り手の細かなディテールや設定へのこだわりなども、ルパンシリーズに通ずるものがある。銃器や爆弾、小さな小道具類。(もちろんこれは007シリーズあたりを源流にしたものなんだろう。)物語の進行も、敵役の造形も、やっぱりルパン三世のノリなんだなぁ。中国人の銃器ブローカーもそうだけど、傑作なのは平田昭彦演ずる殺し屋だね。登場した瞬間からすでに怪しい。しびれるなぁ。

 飛行機の中から始まるオープニング、香港での殺し屋の襲撃など、物語のテンポは非常にスピーディーでいい。ひとつひとつのアクションにパンチがないが、この安っぽさもまたヨロシイ。この映画はこの軽さと明るさが信条だ。

 一番のアクションシーンはドラム缶の爆発シーンだけど、宝田明のマッチ投げの技は、忍者映画の手裏剣に通じるものがあるぞ。彼には忍者の血が流れているに違いない。この後ドラム缶が勝手にどんどん爆発し、その下敷きになって敵があらかた片づくあたり、『トゥルーライズ』のマシンガン階段落ちに近いあっけなさ。このあと、建物の上に宝田たち3人がずらりと並ぶシーンのかっこよさにはしびれるぞ。とくに浜美枝はよい。絶対によい。

 モーターボート海に出た宝田だが、それになぜか浜美枝が水上スキーでぶら下がっているラストに、主題歌がかぶさって……。ク〜、かっちょい〜。


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