映画 プリキュアオールスターズ

NewStage2 こころのともだち

2013/03/17 楽天地シネマズ錦糸町(シネマ1)
歴代プリキュア全員集合のクロスオーバー作品第5弾。
人数多すぎて過去のプリキュアはおまけ。by K. Hattori

13031701  歴代プリキュアが作品の枠を超えて勢揃いする、『プリキュアオールスターズ』の最新作。プリキュアシリーズの映画版としては14作目で、歴代プリキュアが揃うクロスオーバー作品としては5作目になるらしい。今回登場するプリキュアは全部で32人。これにそれぞれ1分ずつ見せ場を作るとそれだけで32分かかってしまうので、この映画では最初に過去のプリキュアたちを結晶化(石化)させて動けなくしてしまい、それを最新作「ドキドキ!プリキュア」の4人が助けて最後に全員で大暴れという形になっている。物語の名から最初に大半のキャラを排除してしまうという、キャラクターの整理方法としては頭のいい方法をとった。

 ただしこれは映画前半に他のプリキュアたちにまったく見せ場がないため、この映画がプリキュア作品である必然性が希薄になってしまう。終盤も個々のプリキュアにはとりたてて見せ場がなく、「ドキドキ!プリキュア」に有象無象の過去のプリキュアがおまけで付いてくるという雰囲気。実際に劇場で映画を観ている子供たちは現在のプリキュアと過去数作しか知らないのだから、これはこれで構わないとは思うのだが、そうなると過去のプリキュアたちは賑やかしのために出てくる完全なゲストになってしまう。もちろん作品の成り立ちからして過去のプリキュアがゲストであることは間違いないのだが、それにしてもクロスオーバー作品であれば、多少なりともそのゲストたちに花を持たせてやってほしいのだ。

 今回の映画ではヴィラン(敵役)が妖精学校の教科書を持っていて、歴代プリキュアの経歴や得意技をすべて知っているというのが面白いアイデアだったと思う。過去のプリキュアたちはヴィランである影にあらゆる手の内を読まれているので、自分たちの技がまったく通じない。ところが最新の「ドキドキ!プリキュア」だけはまだ教科書に載っていなかったため、影とまともに渡り合うことができるわけだ。でも教科書でプリキュアが無力化できるなら、結晶化の必要は特にないような気がするのだが……。

 現在放送中の「ドキドキ!プリキュア」はこれまでのプリキュアシリーズの中でも最も道徳的で訓戒的な内容になっていると思うのだが、それはこの映画版でも同じだ。落ちこぼれの妖精グレルの「弱い心」が影水晶から分身を生み出し、それが肥大して自分でもコントロールできなくなる。グレルの友達エンエンは正直者だがグレルに逆らえず、悪いこととは知りながらもグレルに言われるがままに悪事に手を染める。こうした物語は映画を観ている子供たちを取り巻く「現実」そのものだと製作者たちは考えているのだろうが、物語としてはややストレートすぎる。まるで学校向け道徳教材のようだ。もっとも「ドキドキ!プリキュア」自体がストレートで説教くさいのだから、その映画版がストレートで説教くさくなるのはむしろ自然なことなのかもしれない。

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3月16日公開 新宿バルト9ほか全国ロードショー
配給:東映
2013年|1時間11分|東映|カラー
関連ホームページ:http://www.precure-allstars.com
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
サントラCD:映画プリキュアオールスターズ New Stage2 こころのともだち オリジナル・サウンドトラック
主題歌CD:映画プリキュアオールスターズ New Stage2 こころのともだち
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