恋の紫煙2

2012/10/25 TOHOシネマズ六本木ヒルズ(ART)
一度別れた男女が再びよりを戻すまでの物語。
1作目も含めて日本公開してほしい。by K. Hattori

Loveinthebuff  2年前の東京国際映画祭に出品された香港中国合作映画『恋の紫煙』(原題:志明與春嬌 Love in a Puff)の続編で、原題は1作目のタイトルを少しもじったものになっている。原題だけ見ると何かのパート2だとはわからないので、これは1作目が本国でかなりヒットしている証拠だろう。僕は1作目を観ていないのだが、この2作目だけ観ても面白かった。この映画は1作目も日本では劇場公開されていないので、どこかの配給会社が2本まとめて買い付けて劇場公開してくれるといいと思う。前売り2千円で2本立て公開というのはどうだろう。それにてもこういう映画を観ると、現在の香港と中国の関係もわかるし、中国の経済発展の様子もよくわかる。海外の事情を知りたければ、その国の映画を観るのが一番だ。テレビで尖閣抗議デモの様子を100回観るより、この映画を観た方が中国のことはわかると思うぞ。

 物語の主人公はミリアム・ヨン演じる化粧品店の店員チョンギウと、ショーン・ユー演じる広告代理店勤務のジーミン。前作で知り合って同棲するようになったふたりだが、すれ違いの多い生活の中でチョンギウの側から同棲を解消。やがてジーミンは北京に転勤することになり、ふたりの関係は終わってしまう。だがそれから数ヶ月後、今度はチョンギウが北京に新設される新店舗の店長に抜擢される。北京は大都会だ。まさか偶然の再会などあるまいと高をくくっていたら、なんとふたりはバッタリ再会。しかしその時ジーミンは新しい彼女を連れている。もう関係修復は不可能かと思いつつ、昔どおりの深い仲になってしまうふたり。だが恋人同士になったわけではない。ふたりは親密な時間を一緒に過ごしながらも、ジーミンは新しい彼女と半同棲状態、チョンギウもバツイチの年上ビジネスマンと知り合って親しい関係になって行くのだ。

 恋人同士が一度別れたものの、その後もぐだぐだと中途半端な関係を続けた挙げ句によりを戻すという、世間にありふれた話ではある。恋愛映画は男と女が知り合って、ぐだぐだした関係を経て結ばれる(あるいは別れる)というストーリーしかないわけだから、ありふれた話が悪いわけじゃない。出会いから始まる恋愛映画があるのなら、別れから始まる恋愛映画があったっていいと思うし、この映画はそれに着目してうまく成功していると思う。

 脚本の教科書には、物語は三部構成だと書いてある。導入部があって、途中にぐだぐだいろいろなことが起きて、最後に結論が出る。どんな映画もこの構成は同じだ。だから中間部の「ぐだぐだ」をいかに面白くできるかで、映画の面白さは決まる。この映画はジーミンが北京に行ってしまうまでが導入部で、山荘で主人公たちがケンカ別れをするあたりから終盤の締めくくりに入っていく。導入部の「呪われた女」にはぶったまげたが、序盤と終盤はおおむね予定調和で新鮮味がない。面白いのは中間部の「ぐだぐだ」だ。

(原題:春嬌與志明 Love in the Buff)

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10月23日・26日上映 TOHOシネマズ六本木ヒルズ
配給:未定
2012年|1時間51分|香港、中国|カラー
関連ホームページ:http://2012.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=83
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