仮面ライダー×スーパー戦隊

仮面ライダー×スーパー戦隊

2012/04/22 新宿バルト9(シアター9)
全仮面ライダーと全スーパー戦隊のガチンコバトル勃発!
絵柄的には結構スゴイものがある。by K. Hattori

Rider_vs_sentai  1971年に放送がスタートし、これまでに23作品、放送回数1,000回以上を誇る仮面ライダーシリーズと、1975年にスタートしてこれまでに36作品、1800話近いエピソードが放送されているスーパー戦隊シリーズが、全面的にコラボレーションを果たした豪華版。テレビの人気ヒーローが映画で対決するとうたった作品は『マジンガーZ対デビルマン』(1973年)以来数多く作られているが、ほとんどの作品はヒーロー同士がタッグを組んで巨大な敵と戦うというものだった。しかし本作『仮面ライダー×スーパー戦隊』は、本気で両シリーズのヒーローたちが戦うガチンコバトルの様相を呈している。

 もちろんヒーロー同士の共演だから、物語の最後には仮面ライダーとスーパー戦隊が合流することは観客にもわかっている。しかしこの映画ではその合流ポイントが映画のクライマックスを過ぎたかなり後半に準備されていて、それまでは仮面ライダーがスーパー戦隊を倒し、スーパー戦隊が仮面ライダーを倒すというサバイバル合戦。しかしこれはハラハラドキドキすると言うより、見ていてあまり気分のいいものではない。物語の推進役は仮面ライダーディケイドとゴーカイレッドだが、彼らがかつての仲間たちまで打ち捨て、信頼を裏切り、静止の声にも耳を貸さず、死闘を繰り返す様子は凄惨なものだ。最初は「本物は捕らえられていて登場しているのは同じ能力を持つ偽物か?」「何者かに意識を乗っ取られているのか?」などと逃げ道を考えるのだが、そうした小細工一切なしに、本気の正気で双方が戦うのだから痛々しい限り。そしてこうした光景に痛ましさを感じてしまう自分自身の中に、思いもよらぬ「仮面ライダーへの愛着」や「スーパー戦隊への思い入れ」を発見して我ながら驚いてしまった。

 映画前半があまりにも重苦しいので、映画終盤で主人公たちの意図がわかり、ヒーローが団結して大集合しても、前半の暗さを払拭することができなかった。仮面ライダーとスーパー戦隊のヒーローが大結集すれば、悪の集団などあっと言う間に粉砕してしまうことが目に見えている。ヒーローたちが力を合わせて悪と戦う場面は物語のクライマックスにならず、物語に何かしらの決着を付けるための言い訳になっている。結局この映画の本当のクライマックスは、全仮面ライダーと全スーパー戦隊が激突する場面にあるのだ。このシーンは映画の持つ重苦しさをはねのける、ファンにとってはまさに夢の共演と言えるような場面だったと思う。問題はこの大激突の高揚感が物語のクライマックスと直結していないことで、これについては脚本上で何らかの工夫が可能だったと思う。大ショッカー、大ザンギャックを一蹴した後、海東大樹(仮面ライダーディエンド)が破れかぶれで最終兵器を起動させるエピソードなど、物語にとってはとんだ蛇足に過ぎない。これで物語の焦点がぼけてしまった。

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4月21日公開 新宿バルト9ほか全国ロードショー
配給:東映
2012年|1時間29分|日本|カラー
関連ホームページ:http://superhero-movie.com/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
サントラCD:仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦
主題歌CD:情熱 〜We are Brothers〜
関連書籍:仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦 公式読本
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