×(バツ)ゲーム2

2012/02/24 relations.デジタル試写室
イジメの復讐として廃校舎で繰り返される凄惨な罰ゲーム。
バカバカしいが更なるシリーズ化希望。by K. Hattori

X_game2  2010年秋に公開された異色ホラー映画『×(バツ)ゲーム』の続編。今回は山田悠介の原作を離れたオリジナルストーリーで、原作者は「原案」としてクレジットされている。複数の人間たちが廃校の教室に監禁され、テレビモニターを通して命じられる罰ゲームを強いられるという展開は前作と同じだが、今回は学校の授業を模した問題が出題され、それに答えられないと罰ゲームとなる。罰ゲームを逃れようとすれば、監禁された教室から無理やり連れ出されて、別室で焼きごてを押し当てられる。相変わらず突っ込みどころは満載の映画だが、僕は前作ほどには不快な感じを受けなかった。前作は「イジメ」そのものが罰ゲームの中で拡大再現されていたわけだが、今回はそうしたものになっていないからかもしれない。

 女子高生の佐伯美鈴は何者かに自宅で拉致され、気づいた時には、学校の教室のような部屋の中に見ず知らずの人間たちと共に閉じ込められていた。そこで始まったのは、テレビモニター越しの出題クイズ。その質問に正しく答えないと、待っているのは恐ろしい罰ゲームだった。同じ頃、行方不明になった美鈴の行方を雑誌記者の尾崎が追っていた。世間で都市伝説のように囁かれている、イジメの復讐を代行する謎の組織の存在。どうやら美鈴の失踪はその組織と関わりがあるらしい。美鈴は誰をイジメていたのか? 美鈴の自宅を訪ねた尾崎は、自分が過去に書いた記事で、美鈴をひどく傷つけていたことを知らされる。その罪滅ぼしのためにも、美鈴を絶対に見つけなければならない。だがその間にも、廃校舎の中での凄惨な罰ゲームは続いて行くのだった……。

 内容のバカバカしさには突っ込みどころ満載なのだが、この映画にはそれを補う面白さがあると思う。教室で罰ゲームを強いられる連中は過去に行ったイジメの復讐を受けているわけで、いわばこれは悪行に対する当然の報い。つまり勧善懲悪だ。悪を懲らしめるのは正義であり、姿を現さない罰ゲームの主催者は正義の味方だ。やり方は回りくどいが、この筋立ては仕掛人や仕事人が出てくる「必殺シリーズ」と変わらない。自分の行った悪事を忘れてのうのうと生きている悪党を捕らえ、残忍になぶり殺すというのは最高のカタルシス。悪が栄えることはない。正義は必ず勝つ!

 しかもこの映画は、前作も本作も「必殺シリーズ」よりずっとモラルが高い。金を払って素性の知れない誰かに復讐という犯罪を代行させるのではなく、イジメを受けて傷つき苦しんだ本人が、自らの手でイジメた相手に復讐しているのだ。拉致監禁、暴行傷害、そして殺人。こうした犯罪によって生じるリスクを、すべて自分で引き受ける潔さ。この映画にどの程度の市場性があるのかは不明だが、これは今後もシリーズ化してほしい。ただしあまりリアルにすると「個人的復讐のススメ」になってしまうので、荒唐無稽なバカバカしさはどこまでも維持すべきだろう。

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4月公開予定 全国順次ロードショー
配給:ジョリー・ロジャー
2012年|1時間39分|日本|カラー
関連ホームページ:http://x-game2.com/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
原案:×ゲーム(山田悠介)
前作DVD:×ゲーム
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