トランスフォーマー

ダークサイド・ムーン

2011/07/12 パラマウント試写室
マイケル・ベイ監督の実写版トランスフォーマー第3弾。
映像が3Dになって大変なことに。by K. Hattori

Trans3  マイケル・ベイ監督の実写映画版『トランスフォーマー』の第3弾。主人公サム・ウィトウィッキーを演じるシャイア・ラブーフや、レノックス役のジョシュ・デュアメル、エップス役のタイリース・ギブソン、分析官シモンズを演じるジョン・タトゥーロ、主人公の両親を演じるケヴィン・ダンとジュリー・ホワイトなど、シリーズの常連メンバーが三度目の共演をしている。ただし前2作でヒロインを演じたミーガン・フォックスは降板。主人公の新しい恋人カーリー役で登場したのは、これがメジャー映画デビューとなるロージー・ハンティントン=ホワイトリー。本作には他にも、パトリック・デンプシー、フランシス・マクドーマンド、ジョン・マルコヴィッチといった大物が顔を出し、ハリウッド映画らしい華やかで豪華な顔ぶれになっている。(しかしマクドーマンドとタトゥーロが同一画面上で一緒になると、その瞬間はコーエン兄弟の映画みたいになってしまうのですが……。)

 じつは前2作を観ていないのだが、映画を観ていればこれが壮大な「同窓会映画」であることがわかる。同窓会映画の目的は、前作の登場人物をより多くかき集めてくることだ。そのため得てしてそのためだけに余計なエピソードが作られ、ストーリーとしては意味のないよどみやたるみが出てしまうことがある。これは続編映画の盲腸みたいなものだが、この映画ではそれをものともせずに、物語を強引に前進させてゆくマイケル・ベイ監督の馬鹿力には驚かされる。何しろこの映画では、主人公サムですら本来はまるで必要とされていない巨大な盲腸なのだ。映画はそこに新しい恋人までくっつけたから、盲腸はしっかり炎症を起こして腫れ上がっている。はっきり言って、この映画の後半はサムがいなくても成立するだろう。サムは何のために戦場になった街を走り回っているのかわからず、観客の目を物語に引き込む案内人としての機能さえ果たせていないだろう。しかしこの映画は、そんなことを映画を観ている間は忘れさせてしまう。圧倒的な映像スペクタクルで、観客は完全に思考停止状態になってしまうからだ。

 マイケル・ベイ監督は『バッドボーズ』の頃から爆発と破壊、カースタントに並々ならぬ演出力を発揮する監督だったが、今回の映画はまさにその集大成にして進化形。全編3Dの映像で、車は壊れる、ビルは倒れる、ロボット軍団は叩きつぶされる。拳での殴り合いから、拳銃、自動小銃、大砲、ミサイルなど、ありとあらゆる手段を用いて、最後はシカゴの街が丸ごと破壊され尽くすのだ。カメラが空間内を自由自在に動きまわり、通常速度とスローモーションをこれまた自由自在に組み合わせて、人間の視聴覚能力の限界に挑むような映像体験をさせてくれる。僕はこれを観て、「超時空要塞マクロス」を最初にテレビで見たときの興奮を思い出した。今回の『トランスフォーマー』は、実写3D版の板野サーカスなのだ。

(原題:Transformers: Dark of the Moon)

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7月29日公開予定 TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
2011年|2時間34分|アメリカ|カラー|シネマスコープ|DTS、SRD、SDDS、SR(シアンダイ)
関連ホームページ:http://www.tf3-movie.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン
サントラCD:トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン
サントラCD:Transformers: Dark of the Moon
サントラCD:Transformers: Dark Of The Moon - The Score
ノベライズ:トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン (ハヤカワ文庫SF)
関連DVD:トランスフォーマー・シリーズ
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