カンフー・パンダ2

2011/07/11 パラマウント試写室
食いしん坊でカンフーの達人のパンダが国の危機に立ち向かう。
全編3Dの華麗なアクションは見応えあり。by K. Hattori

Kaufupanda  2008年に製作公開されて大ヒットした『カンフー・パンダ』の続編。前作は主人公のポーがカンフー修行して一人前の戦士になるまでを描く成長物語だったが、今回の映画ではポーが最初から戦士なのでその要素は希薄。主人公の新しい力が最後に開花するエピソードはあるが、仮に今回の映画が大ヒットして3作目を作るとしたら、ポーが全身金色の毛に変身して「スーパー・サイヤパンダ」にでもなるしかないだろう。あまり超人的な力が際立ちすぎると、映画の中にどれほど強力な敵が現れたとしても、観ているこちらはハラハラドキドキしなくなってしまうのだ。

 今回の映画は主人公ポーの出生の秘密に関わる物語。カンフーの聖地である平和の谷に、悲劇の一報が届けられる。それは都を守るマスター・サイが、かつて都を追われたクジャク族の王子シェン大老に殺されたという知らせ。シェン大老は火薬と大量の大砲を武器に、ゴンメンから世界中を征服するつもりなのだ。これはカンフーの危機。ポーと5人の戦士たちはシェン大老の野望を阻止するために都に向かう。だがポーはそこで、シェン大老がパンダ一族を滅ぼした張本人であることを知る。

 前作に引き続き豪華な声優陣が映画ファンに嬉しい映画で、主人公ポーを演じるジャック・ブラック、マスター・タイガーのアンジェリーナ・ジョリー、シーフー老師のダスティン・ホフマン、マスター・モンキーのジャッキー・チェン、マスター・ヘビのルーシー・リューなど前作以来のメンバーに加え、シェン大老のゲイリー・オールドマン、予言おばばのミシェル・ヨー、そしてマスター・ワニのジャン=クロード・ヴァン・ダムなど華々しい顔ぶれがずらり勢揃い。まるでアニメ版の『エクスペンダブルズ』だ。ただし僕が観たのは日本語吹替版だったので、声優の面白味はゼロ。この映画は3Dなので吹替版の方が映像の面白さを楽しめると思うのだが、字幕版の方が俳優たちの共演を楽しめるわけで、どちらを観るかは迷いに迷うところかもしれない。(ま、両方観ちゃえばそれで万事OKなんだけど。)

 前作に引き続き、CGを使って香港映画のカンフー・アクションを誇張し、アクション(動き)そのものの面白さをスケールアップしているのがこの映画のお楽しみ。こうした活劇としての視覚的快感は、実写でもCGでもあまり大差ない。主人公たちが大きさもまちまちの動物キャラクターなので、繰り出す武術も個性たっぷり。それがパズルのように組み合わされて、次々に新しい複合技が出てくる。物理法則はまるで無視しているわけだが、それを感じさせないのはアニメーションの力だろう。映画のクライマックスでポーが「内なる平和」を獲得する場面など、実写でやれば完全に嘘っぱちだが、アニメだとそれが嘘にならない。

 映画のラストシーンには「え?」と思ったが、ファミリー向けの映画ではこれもひとつの必然か。3作目が作られる余地を残して映画は終わるのであった……。

(原題:Kung Fu Panda 2)

Tweet
8月19日公開予定 新宿ピカデリーほか全国ロードショー
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
2011年|1時間30分|アメリカ|カラー|シネマスコープ|DTS、SRD、SDDS、SR(シアンダイ)
関連ホームページ:http://www.k-panda2.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:カンフー・パンダ2
サントラCD:カンフー・パンダ2
関連書籍:カンフー・パンダ2
関連DVD:ジェニファー・ユー・ネルソン監督
ホームページ
ホームページへ