天装戦隊ゴセイジャーVSシンケンジャー
エピック on 銀幕

2011/01/22 新宿バルト9(スクリーン6)
新旧戦隊ヒーローが合流する劇場向けスペシャル版第3弾。
侍戦隊シンケンジャーはこれにて見納め! by K. Hattori

Goseijavsshinkenjya  日曜朝に現在放送中の「天装戦隊ゴセイジャー」と、同番組枠で前番組だった「侍戦隊シンケンジャー」のコラボ映画を、初日初回に新宿バルト9で観て来た。映画館はほぼ満席で、しかもそのほとんどが大人の観客。子供連れの客は1割いるかいないか程度だと思う。昨年は同趣向の映画を上映開始から少し時間を置いて観たのだが、その時は「大人の客もいるんだなぁ」ぐらいで、決して大人ばかりという印象はなかった。作品が本来想定しているターゲット層は、幼稚園から小学校低学年ぐらいの男の子がメインのはず。そういう意味で、劇場のこの光景はちょっと異様なのだが、僕自身この映画を楽しみにしていたので他人のことは言えない。

 子供向け作品だと思ったら映画館に大人ばかり……という風景は、もうずいぶん前に『名探偵コナン』を有楽町の映画館で観たとき、劇場内が銀座や丸の内のOLらしき人たちで埋め尽くされていた時に経験済み。しかし『名探偵コナン』は中身が本格ミステリ仕立てであったり、主人公の恋愛がらみのエピソードがからめてあったりと、それなりに高い年齢層にまで広がりのある作りになっている。それに比べて、戦隊シリーズはどうなのよ? 僕は今回の映画の盛り上がりを「シンケンジャー」人気だと思っているので、来年の映画で「シンケンジャー」が消えたとき、映画館の客層がどうなっているかがまた楽しみ。もっとも2月からは新番組「海賊戦隊ゴーカイジャー」が始まるので、そちらの人気が盛り上がってまた映画館に大人の観客が詰めかけることも十分に考えられる。「ゴーカイジャー」は今回の映画にもゲスト出演していたが、なんだかとても期待できそうな気配がする……。

 映画としては、番組が終了している「シンケンジャー」のメンバーが再度集まる同窓会的な趣向。「シンケンジャー」は歴代戦隊物の中では初めて放送終了後にOV「帰ってきた侍戦隊シンケンジャー特別幕」が発売されているが、これはTVシリーズ版の中のどこかに挿入される番外編だった。それに対して今回の映画は、放送終了後のメンバーたちを描く正式な続編。メンバーたちが再結集するシーンでは、TVシリーズの第1話を踏襲しつつ、1年を共に戦ってきた仲間たちの今がそこに反映しているのがいい。

 1時間という上映時間の中に、それぞれのキャラクターの見せ場を隙間なくぎっしりと詰め込む脚本は苦労があったと思う。しかし最初から最後まで見せ場の連続で、サスペンスを盛り上げる「ため」が作れないのは作品の大きな制約になっている。観客をハラハラドキドキ状態のまま引っ張る、時間的な余裕がないのだ。映画の尺にあと10分でも5分でも余裕があれば、サスペンスがより際だっただろう。これはDVD発売時に、再編集して完全版を作ってもいいかもしれない。今後も長く親しまれるシリーズに育てるため、作り手にはさらなる創意工夫を希望したい。

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1月22日公開 丸の内TOEIほか全国ロードショー
配給:東映
2011年|1時間|日本|カラー
関連ホームページ:http://www.gosei-vs-shin.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:天装戦隊ゴセイジャーVSシンケンジャー エピック on 銀幕
サントラCD:天装戦隊ゴセイジャーVSシンケンジャー エピック on 銀幕
関連書籍:天装戦隊ゴセイジャーVSシンケンジャー エピック on 銀幕
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