仮面ライダー×仮面ライダー
オーズ&ダブル feat. スカル
MOVIE大戦 CORE

2011/01/10 TOHOシネマズ錦糸町(スクリーン7)
仮面ライダースカルの活躍を描くエピソードがメインの番外編。
吉川晃司のスカルはハードボイルドだなぁ。by K. Hattori

Kamenraida2011newyear  現在放送中の「仮面ライダーOOO(オーズ)」と、前番組「仮面ライダーW(ダブル)」が合流する映画版の特別篇。ただし今回はタイトルに『feat. スカル』(「feat.」はフィーチャリングの略で特別出演のこと)とあるように、ゲスト出演の仮面ライダースカルが美味しいところをかっさらっていくヘンテコな映画だ。物語は「仮面ライダーW」の後日談と、その中で回想シーン的に語られる「仮面ライダースカル」の誕生秘話、さらに「仮面ライダーOOO」の3パートに分かれ、このうちWとOOOの物語は終盤で合流するのだが、異なる時間軸の中に存在する「スカル」の物語は合流しない。結局ここにあるのは、Wの物語、OOOの物語、スカルの物語が、それぞれ別々に起こり、別々のクライマックスと結末を迎えるという、なんだかよくわからない構成なのだ。

 企画や脚本の段階でいろいろ欲張って、こういう路線になったのだろう。新旧仮面ライダーの共演で1本の映画版を作るのに合わせて、人気のあった仮面ライダースカルも再登場させられないか……といった発想なのだと思う。でもこれは「二兎を追う者は一兎をも得ず」という結果になっている。スカルの物語が他の若いライダーの物語と接点を持たず宙に浮いているというのが、やはり最大の難点だ。これは純粋に番外編のプリクエルとして、新旧ライダー共演作の豪華な併映作品として作った方がシンプルだったと思う。1本で90分に無理してまとめず、45分ずつの2本立てでもよかったのではないか。新旧共演作はそのまま「ノブナガの欲望」の側でまとめてしまい、誰が映画の主役なのかをはっきりさせるべきだった。

 今回の映画は3人の仮面ライダーを無理矢理共演させた結果、どの仮面ライダーも主役になり損ねている。WやOOOには物語を壊さないようにする遠慮や気兼ねのようなものが見られるし、スカルは過去の閉じられた時間の中で孤独に戦っていて映画全体の中で世界との接点が見られない。特にWとOOOは魅力が存分に生かし切れるだけの世界を与えられず、手足が萎縮している感じだ。その中では一番伸び伸びしているのがスカルだが、荘吉役の吉川晃司がいかに好演しようと(今回彼は映画の主題歌まで歌っているのだ!)、相棒マツ(山本太郎)や荘吉を慕う歌手メリッサ(山本ひかる)の設定がペラペラだから世界に奥行きがない。もっとずっと面白い映画になってもいい設定なのになぁ……。

 「仮面ライダーW」の側がスカルのエピソードで盛り上がるのに比べると、「仮面ライダーOOO」のノブナガは魅力不足で盛り上がりに欠ける。これは普段テレビでやっている30分エピソードより貧弱ではないだろうか。日本の歴史上最も強欲だった男として織田信長に白羽の矢がたれられ、そのホムンクルスが蘇って怪人になるというアイデアは面白いのに、この映画は結局そこで終わっているような気がする。

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12月18日公開 全国東映系ほかロードショー
配給:東映
2010年|1時間30分|日本|カラー
関連ホームページ:http://ooo-w.com/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:仮面ライダー×仮面ライダー オーズ&ダブル feat.スカル movie大戦core
サントラCD:仮面ライダー×仮面ライダー オーズ&ダブル feat.スカル MOVIE大戦CORE オリジナルサウンドトラック
関連書籍:決定版 仮面ライダー×仮面ライダー オーズ&W feat.スカル MOVIE大戦CORE超百科 (テレビマガジンデラックス)
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