×ゲーム

2010/08/06 TMシアター新宿
小学校時代のいじめっ子に下される復讐のゲーム。
安っぽい映画だが内容にゾッとする。by K. Hattori

Batsu_game  大学生の小久保英明は、小学校時代のクラス担任がビルの屋上から飛び降り自殺したと知って驚く。自殺のほんの数日前、先生とは小学校の同窓会で顔を合わせたばかりだったのだ。通夜に出席した英明は、自殺した先生がその同窓会の日以来、自宅に帰らず行方不明になっていたことを知る。当日先生を送って一緒に帰ったはずの同級生・新庄と古池も、通夜には姿を現していない。だがその直後、英明自身が何ものかに拉致されてしまう。気がつくとそこは、小学校時代の教室を模した部屋。同じ部屋には行方不明になっていた新庄と古池、それに英明の初恋の相手だった智絵もいた。やがてこの4人に恐ろしい「バツゲーム」が強要される。それは小学校時代、いじめられっ子だった蕪木毬子に下されていた凄惨なゲーム。だが今ここで4人に下されるゲームは、それを何十倍にもパワーアップした死のゲーム。これは蕪木の復讐に間違いない! 4人は血まみれになりながら、このゲームからの脱出方法を探し続けるのだった……。

 『リアル鬼ごっこ』など数多くの作品が映画化やドラマ化されている、山田悠介の同名小説を映画化。出演はD-BOYSのメンバーである荒木宏文と三上真史、AKB48のメンバーでアイドルユニット「渡り廊下走り隊」のメンバーでもある菊地あやかと仲川遥香など。映画としては、はっきり言って作りや完成度の点で超B級のゲテモノ作品。例えば主人公も含めた4人の男女が監禁される部屋には、机や椅子などさまざまな備品が置いてあるのだから、警棒型スタンガンを持つ覆面男が現れたって、これらの備品を武器にして4人で協力して脱出できるはずなのだ。もちろん現実には難しいことかもしれないが、映画ならそれをやらなければならない。観客が考えつくような抜け道は、一度全部ふさいでおかなければならないのだ。でないとそれらの抜け道を活用できない主人公たちが、まるで能無しの馬鹿に見えてしまう。馬鹿がひどい目にあっても、誰も同情しないのだ。

 そんなわけでホラー映画やサスペンス映画としてはまるでダメなこの映画だが、それでも僕はこの映画を観てゾッとさせられた。それはこの映画が「いじめた奴はその事を忘れてしまう」という事実に、我ながらいくつかの心当たりがあるからだ。僕はこの映画自体にまったく恐さを感じない。しかしこの映画に「お前も昔はいじめっ子だったよな」と非難されているような気がするのだ。そう、僕は中学生の頃いじめっ子だった。クラスメイトを扇動して、寄ってたかって特定の生徒をいじめていたことがある。でもそれは、今も記憶の中にあること。ひょっとしたら記憶していないところで、僕は誰かをいじめていなかっただろうか? そう思うと、僕はぞっとしてしまう。自分にとって都合の悪いこと、後ろめたく感じることを、都合良く忘却してしまっているであろう自分自身が一番恐く、嫌悪感を抱いてしまうのだ。

9月18日公開予定 シネマート新宿ほか全国ロードショー
配給:ジョリー・ロジャー
2010年|1時間59分|日本|カラー
関連ホームページ:http://www.x-game.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:×ゲーム
原作:×ゲーム(山田悠介)
関連DVD:福田陽平監督
関連DVD:荒木宏文
関連DVD:菊地あやか
関連DVD:仲川遙香
関連DVD:三上真史
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