ローラーガールズ・ダイアリー

2010/03/04 シネマート六本木(Screen 4)
ミスコン常連の女の子が突如ローラーゲームに夢中になる。
ドリュー・バリモアの初監督作品。by K. Hattori

Whip It  少女向けミスコンテストの常連として、地元のさまざまな大会で常に上位入賞しているブリスは17歳の高校生。ミスコン出場は母親の希望で本人にやる気はゼロだが、他にこれといってやりたいことがあるわけでもない。テキサス州ボディーンという田舎町で暮らす彼女にとって、ミスコンは学校と家とバイト先の食堂の三角形を行き来するだけの生活のアクセントぐらいにはなっているのだ。だが親友のパシュとオースティンの町に出かけたとき、彼女の運命は大きく変わる。そこで見たのはローラーゲーム。倉庫を改造したスタジアムの中で、ローラースケートとヘルメット姿の女性たちが猛スピードでコースを回りながら体をぶつけ合う大迫力のスポーツ・エンタテインメントだ。興奮したブリスは年齢を隠してチームのオーディションを受検。なぜかこれに受かって、あっと言う間にチームの花形スターになってしまう。

 主演は『JUNO/ジュノ』のエレン・ペイジだが、彼女の最新作と言うより、これはドリュー・バリモアの初監督作と呼ぶべき作品だろう。彼女は年齢35歳にして芸歴34年という大ベテランだが、「初監督作」と聞いて少し不思議に思ってしまった。監督をしたのが不思議だというわけではなく、今まで監督をしていなかったのが不思議に思えたのだ。彼女は15年ほど前に自分の製作会社フラワー・フィルムズを立ち上げて、『25年目のキス』や『チャーリーズ・エンジェル』などの作品を次々に製作している。製作者としてのドリュー・バリモアは結構スゴ腕のヒットメーカーなのだ。彼女がすっかり「作る側」に片足を突っ込んでいたのは、映画ファンなら周知の事実。しかしIMDbを調べると彼女はこの前に1本だけテレビ・ドキュメンタリーを監督しただけ。確かに今回の映画が、劇場映画初監督作で間違いない。

 映画に登場するローラーゲームは日本ではもうすっかり忘れ去られたスポーツだが、アメリカでは一時ほどではないにせよローカルなスポーツとして人気があるようだ。ただしその位置づけは、華やかなプロスポーツというより、ミッキー・ローク主演映画『レスラー』で描かれたどさ回りのプロレスに近い。スタジアムでスポットライトを浴びて観客の喝采を背に受けながら、試合のない日は地元に帰ってアルバイトをするような暮らしだ。しかしそれだからこそ、ローラーゲームのチームメイトたちはヒロインにとってのもうひとつの家族になる。

 ドリュー・バリモアの監督ぶりは、可もなく不可もなくといったところ。携帯電話もウェブサイトも出てくる割りには、ちょっと時代感覚がよくわからないところが欠点と言えば欠点か。それでも出演者は豪華なので、映画ファンには楽しい。監督自身もチームメイト役で出演しているし、母親役のマーシャ・ゲイ・ハーデン、父親役のダニエル・スターン、ライバル役のジュリエット・ルイスなど実力派がずらりだ。

(原題:Whip It)

5月公開予定 TOHOシネマズ シャンテ
配給:ギャガ
2009年|1時間52分|製作国|カラー|サイズ|サウンド
関連ホームページ:http://roller-girls.gaga.ne.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:ローラーガールズ・ダイアリー
DVD (Amazon.com):Whip It
サントラCD:Whip It
サントラアルバム:Whip It [Analog]
原作洋書:Whip It (Shauna Cross)
関連DVD:ドリュー・バリモア監督
関連DVD:エレン・ペイジ
関連DVD:マーシャ・ゲイ・ハーデン
関連DVD:ジュリエット・ルイス
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