サマーウォーズ

2009/07/20 厚生年金会館
『デジタルモンスター/ぼくらのウォーゲーム』の拡張版。
戦いの相手はネットに現れたモンスターだ。by K. Hattori

サマーウォーズ オリジナル・サウンドトラック  『時をかける少女』で注目された細田守監督の新作は、普通の高校生(じつは普通じゃないんだけど)が学校の先輩に連れられていった田舎町で、全世界を揺るがす大事件を解決するという物語。完全オリジナルストーリーだが、この物語の原型は2000年に細田監督が作った『デジモンアドベンチャー/ぼくらのウォーゲーム』であることは間違いない。『ぼくらのウォーゲーム』はネットの中に現れたモンスターを、少年たちが力を合わせて撃退するサスペンスたっぷりのアクション・アドベンチャーだった。そもそも細田監督は、この映画とその前作『デジモンアドベンチャー』で業界内の、あるいはアニメファンの中で注目された演出家なのだ。だから今回の『サマーウォーズ』は、細田監督にとって原点回帰みたいな作品。昔から細田監督に注目していた人は、ぜひとも『ぼくらのウォーゲーム』との比較を楽しんでほしい。『時をかける少女』からの新しいファンは、この機会にぜひ『ぼくらのウォーゲーム』も観てほしい。今回の映画は『デジモン』や『ぼくらのウォーゲーム』のアクション・アドベンチャー路線と、『時をかける少女』の甘酸っぱい思春期ドラマが組み合わされた、細田監督にとってこれまでの集大成となる作品なのだ。

 都内の高校に通う小磯健二は、夏休みのアルバイトとして憧れの先輩・篠原夏希の田舎である長野県の上田市を訪れる。そこは戦国時代から続くという由緒正しい旧家。当初の名目は荷物運びなどもろもろ……ということだったのだが、健二はそこで夏希の婚約者として一族全員に紹介されてしまう。なんとか調子を合わせてその場を取り繕ったのだが、翌朝目が覚めるとそれ以上に驚くことが起きていた。全世界で10億人が利用しているというネットサービスOZがハッキングされ、テレビではその犯人が健二ということになっていたのだ。何者かが健二のネットアカウントを盗み出し、健二に成りすましてOZのシステムをいじくり回しているらしい。健二はゲスト用のアカウントを取得してOZにログインするが、そこで見たのはとんでもないバケモノだった……。

 『ぼくらのウォーゲーム』では子供たちがネット内のモンスターと戦っていたが、『サマーウォーズ』では90歳のおばあちゃんから13歳の中学生まで老若男女さまざまな人間が、それぞれの得意技を持ち寄って強力な敵と戦う話にスケールアップされている。主人公の健二が「数学オリンピックの日本代表候補」だったように、他の登場人物たちにもあっと驚くような特技や隠し芸(?)があるのだが、中でも一番感動的なのは栄おばあちゃんの「人脈」。主人公の健二が土壇場で見せる、鼻血出しながらのスゴ技にもびっくりだ。こんなアクションシーンは、映画の中では前代未聞だと思う。

 戦う人間たちが最後まであきらめないこと。そしてどんな人間にも再挑戦の機会が与えられているのが嬉しい。

8月1日公開予定 新宿バルト9、池袋HUMAXシネマほか全国
配給:ワーナー・ブラザース映画
2009年|1時間54分|日本|カラー|ビスタ
関連ホームページ:http://s-wars.jp/index.html
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:サマーウォーズ
サントラCD:サマーウォーズ
主題歌CD:僕らの夏の夢/ミューズ(山下達郎)
ノベライズ:サマーウォーズ
コミック版:サマーウォーズ
公式ガイド:サマーウォーズ 公式ガイドブック SUMMER DAY MEMORY
関連グッズ:サマーウォーズ
関連DVD:細田守監督
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