DISCO

ディスコ

2008/10/16 Togen虎ノ門試写室
80年代のディスコキングがダンスフロアに舞い戻る。
話はともかく音楽はサイコーだ。by K. Hattori

Disco  フランス北西部の港町ル・アーヴル。いつもニコニコ顔の楽天家ディディエは、母とふたり暮らしの中年無職男。かつては結婚して子供もいたが、妻は彼に愛想をつかせ、子供を連れて故郷イギリスに帰ってしまった。ディディエの楽しみは年に数回子供と面会すること。だが元妻はディディエが無職であることを理由に、子供との面会を拒否。「子供をバカンスに連れて行けないなら、子供には会わせない」と言うのだ。無職の彼にその余裕はない。ところがそんな彼のもとに、ディスコ経営者のジャクソンから願ってもない話が持ち込まれる。近々行われるディスコ大会で優勝すれば、オーストラリア旅行をプレゼントするというのだ。ディディエは20年ほど前まで、仲間たち3人でダンスチーム「ビー・キング」を結成し、どのディスコ大会に出場しても向かうところ敵なしのダンス・キングだった。ディディエは早速かつての仲間たちに声をかけるのだが……。

 40歳を超えた中年男たちが、カラフルなラメ入りジャケットを着込んでダンスフロアで踊りまくるというコメディ映画。ビージーズやドナ・サマー、ボニーMといった、懐かしのディスコ・ナンバーが次々繰り出されるゴキゲンな(死語)映画なのだ。ただし主人公たちが40歳で、80年代にディスコ・キングだったという設定には多少のタイムラグを感じる。日本のディスコブームは1970年代後半(『サタデー・ナイト・フィーバー』は1977年製作)から1980年代前半がブームの再生期で、これはおそらくフランスでも同じだったはず。劇中で紹介されているダンスナンバーも、ほとんどが70年代後半の定番曲ばかりだ。その頃の青年たちは、今では少なくとも40代の後半になっているのではなかろうか。

 冴えない男たちがダンスで一発逆転という物語は、イギリス映画『フル・モンティ』を連想させもするが、この映画は作りがもっとゆるくて脳天気。男たちがなぜかクラシックバレエの先生にダンスの振り付けを依頼して、その先生(エマニュエル・ベアールなのである)と主人公がなんだかいい雰囲気になってくる……といった、取って付けたようなロマンスもあったりする。ジェラール・ドパルデュー演じるディスコ経営者ジャクソンと妻のエピソードも、物語の中にうまく馴染んでいるとは思えない。しかしそうした物語のゆるさを、音楽がぎゅっと引き締めているのだ。主人公ディディエがビージーズの名曲「愛はきらめきの中に」の歌詞を引用すると、そこにこの曲が(どういうわけかカバー・バージョン)が流れ出すあたりはグッとくる。話がご都合主義だろうが、演出がゆるかろうが、音楽がよければそれでよしなのだ。

 ラストシーンもいかにもフランス映画。全体にゆるゆるの映画だったが、このエンディングで全体が引き締まったように思う。

(原題:DISCO)

今秋公開予定 シャンテシネ
配給:アートポート
2008年|1時間43分|フランス|カラー|シネマスコープ|ドルビーデジタル
関連ホームページ:http://www.disco-movie.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:DISCO ディスコ
サントラCD:Disco
関連DVD:ファビエン・オンテニエンデ監督
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