バイオハザードIII

2007/10/23 SPE試写室
感染が広がった地球でアリスたちは最後の脱出に賭ける。
人気シリーズ第3弾の完結編(たぶん)。by K. Hattori

 ミラ・ジョヴォヴィッチ主演のSFアクション・ホラー・シリーズ最新作。製作・脚本は引き続きポール・W・S・アンダーソンが務め、監督はラッセル・マルケイに委任。マルケイ監督といえばクリストファー・ランバート主演の『ハイランダー』シリーズで有名だが、90年代半ばからテレビに比重を移し始めて、ここ数年はテレビばっかりという状態。そんな彼をかつてアイドルのようにあがめていたアンダーソン監督が、今回はあえてマルケイ監督を抜擢したのかもしれないが、マルケイ監督はあまりその期待に応えられなかったように思う。かつてハッタリの効いたきらびやかな映像センスで観客を陶酔させたマルケイ監督が、いつからこんなに地味で普通の映像しか撮れなくなってしまったのだろうか。『タロス・ザ・マミー』や『レザレクション』には、まだかつてのマルケイ・タッチが残っていたように思うのだが……。

 少しマルケイ監督の弁護をするなら、今回は脚本もあまり良くなかったと思う。今回の物語は『マッドマックス2』の世界を舞台にした『ゾンビ』みたいなもので、ルックス的にもストーリー的にも新しさが感じられないのだ。舞台が何もない砂漠で、しかも昼間のシーンが多いこともあり、ラッセル・マルケイが得意とするゴージャスな電飾効果は見せ場がまったくない。劇中最大のクライマックスであるアンデッドと人間たちの死闘にしても、コンテナから飛び出したアンデッドと人間が砂の中を右往左往するばかりで、1作目や2作目にあった、暗闇からアンデッドが飛び出してくるショックは皆無だ。おそらくこれは1,2作を踏まえて、これまでにやったことのないアクションを見せようという意図から出てきたものだとは思うが、結果としてはひどくチープな場面にしかなっていないと思う。舞台はラスベガスなんだから、電飾ギラギラの舞台設定を用意することだってできたはずなのに……。まことに残念!

 映画としての面白さでは、クローン・アリスが目覚める一連のシーンが一番。迷路のような室内からいかに脱出するかという設定こそが、このシリーズの面白さを下支えしている基本コンセプトであることを痛感させられる。劇中にちりばめられているSF風の諸設定なんてものは、正直どうでもいいものなのだ。アクションシーンの中でヒロインのアリスをどれだけ格好良く、スタイリッシュに活躍させられるかがこのシリーズの醍醐味であって、そのための舞台装置を後付けで考えるしかない。映画の中にはいろいろなアイデアが散りばめられているが、それが物語の中でアリスの魅力を引き出すためにどれだけ貢献していたかは疑問だ。組んずほぐれつの乱闘シーンの中で、人工衛星からピピピッって、そりゃないよ!

 シリーズの継続も気になるところだけれど、第4弾を作るならポール・W・S・アンダーソンを監督に復帰させるなど、大きなテコ入れが必要かも。

(原題:Resident Evil: Extinction)

11月3日公開予定 スカラ座ほか全国東宝洋画系にて公開
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2007年|1時間34分|アメリカ|カラー|スコープサイズ|SDDS、SRD、SR
関連ホームページ:http://www.sonypictures.jp/movies/residentevilextinction/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:バイオハザードIII
サントラCD:Resident Evil: Extinction
ノベライズ:バイオハザードIII
ノベライズ:Resident Evil: Extinction
関連DVD:バイオハザード・シリーズ
原作ゲーム:バイオハザード・シリーズ
関連DVD:ラッセル・マルケイ監督
関連DVD:ポール・W・S・アンダーソン(製作・脚本)
関連DVD:ミラ・ジョヴォヴィッチ
関連DVD:オデッド・フェール
関連DVD:アリ・ラーター
関連DVD:マイク・エップス
関連DVD:アシャンティ
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