サーフズ・アップ

2007/08/29 スペースFS汐留
南極の田舎ペンギンがサーフィンの聖地ハワイで大会に出場。
伝説のサーファーまで現れて大騒ぎ。by K. Hattori

 幼い頃、今は亡き伝説のサーファーのビッグZに出会ってサーフィンの虜になり、周囲の反対や後ろ指にもめげずプロサーファーを目指して練習を重ねてきたイワトビペンギンのコディ。いつしか彼は、南極一番のサーファーへと成長していた。(もっとも南極でサーフィンをするペンギンは彼ひとりなんだけどね。)毎年ハワイで開催されるビッグZの名を冠したサーフィン大会のスカウトが南極までやってきたことから、コディは故郷を旅立ち一路ハワイへ。だが敬愛するビッグZをせせら笑う現チャンピオンのタンクに勝負を挑み、したたかに海の水を飲まされたコディは意気消沈。そんな彼の前に現れたのは、死んだはずのビッグZだった!

 これはペンギンが主役のCGアニメだからそこそこ面白く観られるのであって、人間が実写で同じ物語を演じたら、陳腐でまったく観ていられなかったと思う。上映時間は1時間半に満たず、ストーリーはいたってシンプル。しかしそのシンプルな世界の中で、各キャラクターがそれぞれの魅力を十分に発揮している。本作の商業コンテンツとしてのあり方からすれば、とりあえず各キャラクターの個性をきちんと打ち出し、そこに観客が一定の好感を持ってくれるだけで成功なのだ。

 映画会社がアニメを作るウマミは、映画やDVDをはじめとする「映画作品」からの売り上げ以外のところにある。出版、アパレル、オモチャ、文具、ソフトウェアなど、キャラクターを使った関連グッズを通して莫大な売り上げが期待できるのだ。キャラクターが十分に認知されれば、ビデオ市場に映画の続編やスピンオフものを提供して、さらなる利益を得ることもできるだろう。こうした商法の元祖はもちろんディズニー。キャラクターが一人歩きしてしまえば、映画なんてもう関係ない。映画『くまのプーさん』を観ていない人もぬいぐるみやグッズは持っていたりするし、映画に興味がない人もディズニーランドには行く。それがアニメ作品が持つパワーだ。

 アマゾンなどアメリカの通販サイトを検索すれば、本作の関連グッズが山のように発売されていることがわかる。アニメ映画はこうした「キャラクター・ビジネス」の中心として機能しているのだ。サーフィンをするペンギンは海浜リゾート向けのキャラクターとして今後も生かせそうだし、同じソニーが昨年製作した『オープン・シーズン』よりは各種グッズへの展開が期待できるのではないだろうか。場合によっては、ビデオ市場で本作がシリーズ化されるかもしれない。

 登場キャラの中では、いたずら者の子供ペンギンたちがじつにカワイイ。あのふわふわ感をそのままぬいぐるみにしたら、結構売れるような気がするぞ。でもアメリカのアマゾンを検索しても、あまり気合いの入ったぬいぐるみを売っていないのが残念。どこか日本のメーカーがチャレンジしないものだろうか。そのためにも、少しは映画がヒットしてくれないとね。

(原題:Surf's Up)

12月15日公開予定 スカラ座ほか全国東宝洋画系
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2007年|1時間25分|アメリカ|カラー|ビスタサイズ|SDDS、ドルビーデジタル
関連ホームページ:http://www.sonypictures.jp/movies/surfsup/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:サーフズ・アップ
DVD (Amazon.com):Surf's Up (Widescreen Special Edition)
DVD (Amazon.com):Surf's Up (Full-screen Special Edition)
DVD (Amazon.com):Surf's Up [Blu-ray]
DVD (Amazon.com):Surf's Up [UMD for PSP]
サントラCD:Surf's Up
関連洋書:Surf's Up: The Art and Making of a True Story
関連ソフトウェア:Surf's Up(輸入版)
関連洋書:Surf's Up関連
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