アローン・イン・ザ・ダーク

2006/02/24 松竹試写室
人気ゲームを原作にしたホラー・アクション映画。
話がよくわからないのが致命的。by K. Hattori

 原作となったゲームはかなりの人気があるシリーズだというが、僕はゲームをやらないのでそうした情報にはまったく暗い。ネットで調べてみたところ、この映画はどうやら2002年に日本版も発売されているシリーズ4作目「アローン・イン・ザ・ダーク〜新たなる悪夢〜」(原題は「Alone in the Dark 4: The New Nightmare」)の人物設定をベースにしているようだ。といってもそれは、主人公の名前がエドワード・カーンビーとアリーン・セドラックになっている程度のことでしかないのだけれど……。物語のバックグラウンドになっている主人公カーンビーの過去や、対悪魔殲滅特殊部隊ARCAM(アーカム)713部隊などは、映画のためのオリジナル設定かもしれない。いずれにせよ、なぜこのような映画がこのような時期に作られたのかは疑問。たぶん同じようにホラー・アクション・ゲームを原作にした『バイオハザード』がヒットしたことから、柳の下のドジョウを狙ったのだと思う。

 超常現象調査官エドワードは、手に入れた古代アビカニ族の遺物を博物館に届ける途中、何者かに遺物を奪われそうになる。どうやらこの遺物を手に入れて、1万年前にアビカニ族が封印した地獄の門を再び開けようとしている者たちがいるのだ。同じ頃、かつてエドワードが所属していた対悪魔殲滅特殊部隊が活動を活発化させていた。人間界に潜む魔界の生物たちが、一ヶ所に集結しようとしていたからだ。その場所こそ、かつてアビカニ族の地獄の門が存在した場所。人類の存亡をかけたこの戦いには、エドワードが子供の頃に育った孤児院が深い関わりを持っていた……。

 物語の中にはいろいろなアイデアが詰め込まれているのだが、それが未整理なままごちゃ混ぜになっていて、不必要な伏線、蛇足の説明、しり切れとんぼのエピソード、さして意味があるとは思えない人物設定などがかなりある。これはすべて、映画のコンセプトが不明瞭で、脚本が未整理なことから生じる欠点だ。映画の見せ場は暗闇でのサスペンスと、悪魔軍団相手の派手な銃撃戦しかないのだから、まずは映画としての見せ場を十分効果的に見せるためにどうすればいいのかを考え、あとはそれに合わせて人物設定や物語を組み立てていけばよかったのだ。しかしこの映画では、それほどユニークさを感じない物語のバックグラウンドを語ることに熱中して、B級アクション映画のクライマックスであるはずのドンパチが後回しになっている。

 予算がなくてアクションシーンの規模が小さくなったことも考えられるが、それなら暗闇のハラハラドキドキを増やせばいい話。クリスチャン・スレーターやスティーヴン・ドーフなどにもう見せ場を作るとか、タラ・リードをもっとチャーミングに見せるとか、映画として工夫すべき余地はまだまだあったはず。見切り発車で作られた、あまりに生煮えの映画だ。

(原題:Alone in the Dark)

5月20日公開予定 新宿トーア
配給・宣伝:日活 宣伝:ドロップ
2005年|1時間38分|カナダ、ドイツ、アメリカ|カラー|シネスコ|ドルビーデジタル
関連ホームページ:http://www.blood-alone.jp/
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