理想の恋人.com

2005/08/24 ワーナー試写室
出会い系サイトの正しい使い方(?)を教えます。
バツイチ・カップルの恋の行く末。by K. Hattori

 結婚に失敗して心に傷を負った男女が、友人や家族が勝手に登録した出会い系サイトで知り合い恋に落ちるお話。原題は出会い系サイトの要望欄に書き込む「犬好き限定」の意味だろうが、邦題はサイトの名称(perfectmatch.com)になっているのがひと工夫。まあ『犬好き限定』なんてタイトルにされても、なんだかよくわかんないけどね。主演はダイアン・レインとジョン・キューザック。共演はクリストファー・プラマー、エリザベス・パーキンス、ストッカード・チャニングなど。ヒロインが恋心を抱く二枚目役で、ダーモット・マローニーの爽やかな笑顔を久しぶりに見たのも嬉しい。『アバウト・シュミット』を観たときは驚きましたが、今回は素敵なハンサムガイに戻ってました。

 恋や結婚が楽しいだけのものではないことを知り尽くしている大人たちが、それでも新しい恋に勇気を持って踏み出していく様子を描いた大人のラブコメディ。主人公を始め登場人物の多くは、「永遠の愛」なんてものが存在しないことを骨身にしみて知っている人たちです。離婚した痛手から立ち直れない主人公たち。妻に先立たれたヒロインの父親。その新しいガールフレンドは数度の結婚歴があるし、妻と別居した男も登場する。こうした世の中の現実を知っている人たちが、今さら「永遠の愛」なんて信じられるわけがない。でも人は、やっぱりひとりでいるのが寂しいし、誰かを愛さずにはいられない。誰かに愛されることで、自分自身が輝きたいと思っている。無邪気に愛を信じられた10代や20代の恋愛はある意味ですごくシンプル。でも恋の辛酸を舐めたことのある大人の恋愛は、あれこれ思い悩んだり迷ったりすることが多いのです。

 この映画を10代の人が観ても、互いに好意を持っている主人公たちがなかなか一緒にならないことにイライラしてしまうかもしれない。彼らが最後に結ばれることは誰もが予想し期待していることなのに、ヒロインがいつまでもふたりの男性の間でウロウロしているのはなぜ? 一度はその気になったんだから、そのまま突っ走ればいいのに! え〜い、じれったいぞ!

 でも大人の恋はじれったいものなのです。年齢を重ね経験を積めば積むほど、新しい恋に対して慎重にもなるし臆病にもなる。幾度か愛の終りを経験してきた人なら、この主人公たちのじれったさにこそ共感するのではないでしょうか。だからこそ最後の最後に一切の不安を振り捨てて大胆な一歩を踏み出していくふたりに、心から拍手喝采できるのです。

 主人公ふたりの控えめな性格を補うかのように、周囲にユニークなキャラクターを配置しているのが見もの。ネットで次々女性をナンパするヒロインの父には笑わせられますが、そのガールフレンドがヒロインに出会い系サイトの利用法をレクチャーする場面もケッサクです。ヒロインに役に立たない避妊法をアドバイスする姉も面白い!

(原題:Must Love Dogs)

10月1日公開予定 東劇ほか全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画 宣伝:レオ
2005年|1時間38分|アメリカ|カラー|DTS、Dolby Digital、SDDS
関連ホームページ:http://www.warnerbros.jp/
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