釣りバカ日誌16

浜崎は今日もダメだった♪

2005/08/12 松竹試写室
タイトルは「長崎は今日も雨だった」のもじり。
もちろん舞台は長崎……のはずが!by K. Hattori

 1988年からほぼ年に1本のペースで製作されている、松竹の人気シリーズ『釣りバカ日誌』の18作目。映画のタイトルが「16」になっているのは、途中に2本のスペシャル版が入っているからだ。シリーズとしては「ハマちゃん&スーさん」の鈴建コンビを中心にゆるやかな同一性を保ちつつ、時に前作の設定を忘れ、時として唐突に過去作品の設定を持ち出すなど場当たり的な連続性を引きずるところがこの映画の魅力かもしれない。シリーズを続けてみていなくても話はわかるのだが、続けてみていればより面白くなること請け合い。シリーズをあまり熱心に観ていない人にも面白い映画だと思うが、シリーズのファンは「そうそう、昔そんな話があったよな〜」とニヤニヤできるのだ。

 主人公が全国を行脚し、行く先々で不器用な愛を育むカップルの縁結びをするという「寅さん映画」のパターンを踏襲しつつあるこのシリーズだが、作り手としてはそのパターンをどこかで壊そうとしているのだろう。ゲストの恋愛や結婚というエピソードに、主人公たちがあまり関わらず傍観者になることも多い。今回の映画は金子昇と伊東美咲のカップルが結婚しようとすると、それに伊東の父である尾崎紀世彦が反対するという話なのだが、映画の中盤でこのエピソードが突然わきに放り出されてしまう。その代わりに映画の中心になるのは、ハマちゃんこと西田敏行と、今回のもうひとりのゲスト、ボビー・オロゴンが演じるとんでもないドタバタなのだ。

 もっとも「ハマちゃん&スーさん」のコンビが同時に行動しないというのは、単なるパターン崩しという意図以前に、売れっ子である西田敏行と三國連太郎のスケジュールを同時に確保するのが難しいという、撮影の段取りとしての事情もあるのかもしれない。今回の映画ではそれを逆手にとってか、ふたりがまったく顔を合さないのを一種のギャグにしていた。でも僕が観たいのはスーさんとハチが浜崎家でドタバタを演じる様子ではなく、ハマちゃんとスーさんコンビのギャグなのだ。『釣りバカ日誌12/史上最大の有給休暇』や『釣りバカ日誌14/お遍路大パニック!』のような掛け合いがまた観たい! 主役ふたりをばらしたり後退させたりするのは時々あることなので、たぶん次の映画あたりでは再度主役コンビの活躍が観られるのではないかと期待していますが……。

 オープニングで鈴木建設の社歌を延々流し、それに合せて登場人物たちが合唱をするというミュージカル風の滑り出しにニッコリ。でも残念なのは三國連太郎がこの歌の輪に加わらなかったことで、せっかくだから歌わないまでも、鼻唄とか口笛とか、何か別の方法でもいいからこの社歌に加わってほしかった。今回はゲストに尾崎紀世彦が出演して、ライブハウスで歌うシーンもある。ここにハマちゃんが加わって熱唱するシーンも楽しかった。歌が入ると映画は1.5倍ぐらい楽しくなる。

8月27日公開予定 丸の内プラゼールほか全国松竹東急系
配給:松竹
2005年|1時間55分|日本|カラー
関連ホームページ:http://www.warnerbros.jp/
DVD SpecialShop DiscStation 7dream_88_31 TSUTAYA online
ホームページ
ホームページへ