妖怪大戦争

2005/07/08 松竹試写室
お子様映画だが、それをオトナが一所懸命作っている。
豪華出演者だけでも一見の価値あり。by K. Hattori

 夏休み公開のお子様向け映画だが、ただの子供だましになっていないのがいい。映画のために集められた超一流のスタッフとキャストが、ワイワイガヤガヤ楽しみながら映画を作っている様子が伝わってくる。監督は三池隆史。プロデュースチーム「怪」として、水木しげる、荒俣宏、京極夏彦、宮部みゆきら、日本を代表する妖怪フリークが勢ぞろいし、原作と脚本プロデュースを荒俣宏が担当している。出演者の顔ぶれもすごい。主演は今やあちこちから引っ張りだこの人気子役・神木隆之介。妖怪をヨモツモノに改造して人間社会を破壊しようとするのは、豊川悦司扮する魔人・加藤保憲。トヨエツも悪くはないんだけど、せっかくならこの役は『帝都物語』や『帝都大戦』に引き続いて嶋田久作に演じてほしかったな〜。この映画で最大の不満点はそこだったりして……。

 映画の見どころはストーリー以前に、次々に出てくる出てくる妖怪の数々にある。この映画はまるで、動く妖怪百科事典だ。しかもそれを演じている俳優たちの顔ぶれがすごい。もっとも強烈なのは、忌野清志郎演じるぬらりひょん。これは「い・け・な・いルージュマジック」以上の衝撃! 妖怪以外でも「こんな人がこんな役で!」という、カメオ出演やゲスト出演のような人たちが多いので、この映画を劇場で観る人はぜひとも事前にパンフレットを買って配役をチェックしておくことをお勧めする。ワンシーンだけ出演でアップにさえならないとか、特殊メイクで顔の原型をとどめないとか、あまりにもさりげない登場の大物俳優たちが多すぎる。なんとも贅沢だ。

 妖怪映画などセクシーとは無縁のはずだが、それでも意味もなくお色気を振りまくのが、魔人加藤を補佐する鳥刺し妖女・アギと、主人公を助ける妖怪・川姫。アギを演じているのは『死国』でも妖怪(?)を演じていた栗山千明で、日本の妖怪なのになぜかひとりだけ超モダンなスタイルで、しかも突然着替えのシーンがあったりする。高橋真唯演じる川姫は衣装の露出度が高く、肌はいつも濡れたようにぬめぬめして、しかも助けた子供の手はいつもなぜか太股をサワサワ……。う〜む、僕も触らせていただきたい。お色気は感じなかったが、三輪明日美のろくろ首は面白かった。でもどうせならこれも、怪奇モノに縁の深い姉の女優、三輪ひとみに演じてほしかったかも。(彼女はこの夏、妖怪映画のライバル『姑獲鳥の夏』の方に出演しているのだ。)

 お話は荒唐無稽でナンセンスの極み。『宇宙戦争』のラストにぐだぐだ文句を言う人たちは、この映画のオチに椅子から転げ落ちるに違いない。タイトルは『妖怪大戦争』だが、映画のノリは劇中の台詞にもある「妖怪祭」そのもの。エラヤッチャ、エラャッチャ、ヨイヨイヨイ。日本中から東京に結集した妖怪たちがウェーブを作るなんて、映画史上でも空前絶後。キリン一番絞りでも飲みながら、ほろ酔いで観るのが正解!

8月6日公開予定 丸の内ピカデリー2ほか全国松竹東急系
配給:松竹
2005年|2時間4分|日本|カラー|ビスタサイズ|ドルビーSRD-EX
関連ホームページ:http://yokai-movie.com/
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