コンフィデンス

2004/01/14 GAGA試写室
エドワード・バーンズ主演のコンムービー(詐欺師映画)。
内容的には『スティング』をかなり意識している様子。by K. Hattori


 タイトルの『コンフィデンス』とは信頼や信用という意味。だがこれが「コンフィデンス・ゲーム(コンゲーム)」になると信用詐欺の意味になり、「コンフィデンス・マン(コンマン)」は詐欺師の意味になる。詐欺師を主人公にした映画は多いが、その古典とされているのがポール・ニューマンとロバート・レッドフォード主演の『スティング』。そのラストシーンで観客をあっと驚かせたカックルブラッターというトリックは、実際の詐欺師たちの間でカモを追っ払う手っ取り早い手段として常用されていたという。映画『コンフィデンス』はちょうどそんな場面から始まる……。

 カックルブラッターを使って小心な会計士から15万ドルをせしめた有能な詐欺師ジェイクは、その金が裏社会の大物キングから盗まれたものだったと知って震え上がる。仲間のひとりがキングの手にかかり、自分たちもこのままでは危ない。ジェイクはキングのもとに自ら出向き、彼のためにでかい仕事をしてもうけを山分けしようと大胆な提案をする。目標は500万ドル。だが新メンバーを交えて計画が半ばまで進んだとき、かつてジェイクに煮え湯を飲まされたFBI捜査官ビュターンが現れてしまった。

 物語は路上に捨てられているジェイクの射殺死体の告白という形を取っている。なぜ彼は撃たれねばならなかったのか。一体誰が彼を撃ったのか。この疑問に答える形で物語が回想形式で語られる。まるで『サンセット大通り』だ。だがこの映画がもっとも意識しているのは、やはり『スティング』だろう。暗黒街の大物に仲間を殺された若者が、大物に復讐するため詐欺話を持ちかけるという筋立てが、そもそも『スティング』ではないか。途中で女がからんだり、警官がうろつき始めるのも『スティング』と同じ。『スティング』を観ている人なら、この映画のオチもだいたいの予想は付くと思う。

 な〜に、オチなどわかってもいいのだ。この手の詐欺師映画は、物語やトリックの語り口が芸なのであって、ネタやオチは使い古されたもので構わない。あの『スティング』にしたところで、詐欺のアイデア自体はデヴィッド・W・モラーの「詐欺師入門」から丸ごと拝借しているのだ。この映画の場合はトリックそのものより、回想形式や主人公のモノローグという映画の構成そのものが、詐欺のトリックに利用されている。映画を観ながらまずはそれを面白がればいい。

 この手の映画で「俺は最初からネタがわかったぞ!」と鬼の首を取ったように大はしゃぎするのはバカげている。こういう映画は手品と同じ。タネも仕掛けもあることを承知で、それを楽しむのが上等の客というものです。トリックの詮索のみに終始するのは、手品の楽しみ方としては野暮もいいところなのだ。上映時間は1時間37分。『スティング』が大規模なイリュージョンだとすれば、この映画はシンプルなテーブルマジックのような映画です。

(原題:Confidence)

2月7日公開予定 ニュー東宝シネマ他・全国東宝洋画系
配給:ギャガ・ヒューマックス共同配給 協力:カルチュア・パブリッシャーズ
2002年|1時間37分|アメリカ|カラー|シネマスコープ|ドルビーSRD、ドルビーデジタル、DTS、SDDS
関連ホームページ:
http://www.gaga.ne.jp/confidence/

DVD:コンフィデンス
サントラCD:Confidence
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関連書籍:詐欺師入門(デヴィッド・W・モラー)
関連書籍:詐欺とペテンの大百科(カール・シファキス)

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