再見〈ツァイツェン〉
また逢う日まで

2003/07/10 メディアボックス試写室
両親の死でバラバラになった兄弟姉妹が20年後に再会。
久しぶりに思い切り泣かされてしまいました。by K. Hattori

 20年前に海外に渡って教育を受け、世界的な若手指揮者となった中国人女性チー・スーティエンが中国に戻ってきた。彼女の訪中の目的は地元オーケストラとコンサートをすることと、20年前に生き別れになった兄や弟妹を探すことだった。ちょうど同じ頃、北京でタクシーの運転手をしているイクーも、生き別れの妹スーティエンを探していた……。

 子供の頃に生き別れになった兄弟姉妹が、大人になってから再会するという感動作。実話をもとにしたアメリカ映画『ロングウェイ・ホーム』の中国版みたいな話だが、これが素直に泣けるいい映画になっている。ところどころに構成や演出のゆるい部分もあるのだが、そのゆるさに油断していると、次のシーンでは観る者の気持ちをグイとわしづかみにする感動シーンがやってくるからたまらない。泣ける泣ける。お涙頂戴のメロドラマだとわかっていても、自分の意思とは関係なしに涙が出てくるのだからしょうがない。

 中国に帰国した長女スーティエンと北京でタクシー運転手をしているイクーを中心に、兄弟姉妹の過去が回想形式で挿入されていくという形式。現在の物語としては、はたして兄弟姉妹が再会できるのか、離れ離れになった兄弟姉妹たちはいったいどんな生活をしていたのかというサスペンスとミステリーがある。だが映画の中で最大のミステリーは、両親と6人家族で仲睦まじく暮らしていた一家が、なぜ離散することになってしまったのかという謎。これが映画のクライマックスになっている。

 あまりにも突然すぎた両親との別れ。そして残された兄弟たちが、ひとり、またひとりと切り離されていく。まるで手足の指を1本ずつ切り離されていくような、痛々しいシーンの連続だ。幼い兄弟姉妹たちの悲痛な叫び声。それまでの幸福なシーンとのコントラストが強烈過ぎて、このシーンは映画の中で一番泣ける。子役で泣かせるのはズルイとわかっていても、やっぱり泣けてしまうのだ。幼い妹と弟を手放した後、イクーとスーティエンが手をつなぎながら歩くシーンが悲しすぎる。兄に向かって健気に微笑んでみせるスーティエンの大きな目から、大粒の涙がポロリポロリとこぼれ落ちて頬を伝わり落ちる。その表情には「これから何があっても兄妹ふたりで生きていこう!」という決意が見えるのだが、それでもイクーは妹のために、彼女と別れることを選ぶ。最後にたったひとりになったイクーが、両親や妹弟たちの名前を叫びながら走るシーンの悲痛さには胸が詰まる。

 コンサートシーンに幼い頃の回想シーンがオーバーラップする演出は、日本映画『砂の器』にもあったもの。このあたりになると観ているこちらが感動するとか何とか言う以前に、涙腺からは自動的に涙が出てくる仕掛けになっている。最後に4人が壇上で抱擁するシーンはやりすぎだと思うけど、そこに再び20年前の表情がインサートされるとまた涙が……。やられた!

(原題:我的兄弟姐妹 Roots and Branches)

秋公開予定 シネスイッチ銀座
配給:シネマパリジャン、徳間書店
(2001年|1時間35分|中国)
ホームページ:
http://www.cinemaparisien.com/

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