デアデビル

2003/03/14 20世紀フォックス試写室
マーヴェル・コミック出身のアメコミヒーローをベン・アフレック主演で映画化。
盲目のヒーローの“視覚”を映像化しているのがユニーク。by K. Hattori

 '60年代にマーヴェル・コミックから生まれたアメコミヒーロー「デアデビル」の実写映画化。主演は幼いころから原作のファンだったというベン・アフレック。監督は『サイモン・バーチ』のマーク・スティーヴン・ジョンソン。ヒロインのエレクトラ役に、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』にも出演していたジェニファー・ガーナー。悪役には『マイノリティ・リポート』のコリン・ファレルと、『グリーンマイル』のマイケル・クラーク・ダンカン。

 主人公である仮面のヒーロー“デアデビル”ことマット・マードックは、少年時代に産廃液を浴びて盲目になり、それと引き換えに超人的な聴力や嗅覚などのレーダーセンスを身につける。ギャングに父親を殺されて以来この世の悪と戦い抜くことを決意したマードックは、昼は悪に虐げられた庶民を方の下で助ける弁護士として働き、夜は法の網の目をくぐって跳梁跋扈する悪党どもを葬る仮面の悪魔になる。鍛え上げられた肉体とレーダーセンス、並外れた正義感、そして「恐れを知らぬ心」だけが彼の武器だ。

 物語の舞台はマンハッタンのヘルズキッチン。ここはデアデビルことマット・マードックの生まれ育った地区であり、彼は基本的にこの地区を根城にして犯罪撲滅のために働いているらしい。「アメリカを救う」とか「世界を平和に」などと大風呂敷を広げず、自分の手が届く範囲で治安維持活動をしているスケールの小さなヒーローがデアデビルなのだ。荒唐無稽なアメコミヒーローであるにも関わらず、盲人でありながら武術の達人という無茶苦茶な設定にもかかわらず、このつつましい守備範囲がデアデビルの行動にある種のリアリティを生み出しているようにも思う。

 見所は盲目のデアデビルが音の反射から物の姿を捉えるレーダーセンスを、映画の中でいかに映像化しているかという部分。この特殊能力こそが、デアデビルにとって最大の武器であり、同時に弱点でもあるのだ。レーダーセンスを使えば物陰にいる人間や、壁の向こう側にいる敵の動きも察知することができる。わずかな空気の震えや歪みを察知し、飛んでくる弾丸や手裏剣をよけることも可能だ。だがこのレーダーセンスは、大音響の発生によって認識像にゴーストを生じさせてしまう。またデアデビルの繊細すぎる聴覚は、突然の大音響に耐えることができない。

 格闘シーンなど面白い見せ場もあるのだが、映画を観終わっても今ひとつスッキリとしないのはなぜだろうか。マードックの復讐も今ひとつ煮え切らないし、エレクトラとの恋も中途半端に終わってしまった。またコミック作品の映画化の割には、キャラクターの角が立っていないような気がする。例えばマードックの同僚フランクリン・ネルソンや新聞記者ベン・ユーリックのキャラクターは、もう少し書き込めるのではないだろうか。エレクトラの父がキングピンの下で何をしていたかも不明確だ。

(原題:DAREDEVIL)

2003年4月5日公開予定 日々やスカラ座他・全国東宝洋画系
配給:20世紀フォックス
(2003年|1時間43分|アメリカ)
ホームページ:
http://www.foxjapan.com/movies/daredevil/

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DVD:デアデビル
サントラCD:デアデビル |デアデビル(スコア)
サントラCD:DAREDEVIL |DAREDEVIL (SCORE)
原作その他:DAREDEVIL
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