黄龍 イエロードラゴン

2003/03/11 TCC試写室
倉田保昭主演のアクション映画。さすがにアクションはすごい。
でもヒロインを演じた宮本真希がねぇ……。by K. Hattori

 服用者の身体能力を飛躍的に高めながら、強烈な副作用で死に至らしめるという劇薬「イエロードラゴン」。だが副作用を無力化する抗体さえあれば、この薬を使って世界最強の軍隊を作ることも夢ではない。抗体を持っているのは、イエロードラゴンの開発者・永瀬のみ。だが彼はすでに世を去っており、残る可能性は彼の血を引く一人娘・純の体内にあった。イエロードラゴン実用化をもくろむ組織は何も知らない純を誘拐しようとするが、父親の友人だった東剛三郎はそれを阻もうとするのだが……。

 30年以上前に単身香港に渡り、数々のアクション映画に出演してきた倉田保昭の主演最新作は、彼が設立した倉田プロモーションの創立20周年記念製作映画。ゴウこと東剛三郎を演じるのは倉田保昭。彼はこの他にも、製作総指揮と原案・脚本を担当している。ヒロインの純を演じるのは『おもちゃ』の宮本真希。TV「水戸黄門」シリーズの照英が、ゴウや純と行動を共にする仲間の一人を演じている。監督は人気OVシリーズ『静かなるドン』や『いちご同盟』の鹿島勤。『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』や『ジェヴォーダンの獣』のアクション監督を務めたフィリップ・コクが、切れのいいアクションを演出している。

 長い間封印されていたイエロードラゴンの開発が、なぜ10数年ぶりに再開されなければならなかったのか。純のみに危険が迫るまで、なぜ剛たちは事態を静観し続けたのか。考えなくてもいろいろと不思議なことのある物語だが、そうしたストーリー上の問題以上に厄介なのが、ヒロインの純を演じた宮本真希だろう。北京のディスコで襲われるという導入部からして、「こいつ、やる気あるのか?」と首をかしげるような投げやりな態度。その投げやりな態度が、どうやら“役作り”によるものらしいと気づくのは、映画がだいぶ進行してからだった。純はゴウの特訓を受けて格闘技の技術を身につけるのだが、映画終盤にある乱闘シーンではじつによく体が動いている。しかしこの映画の宮本真希が、はたしてヒロインとして適当であったかが僕にはよくわからない。

 僕は宮本真希が嫌いではない。『おもちゃ』の彼女は間違いなく素晴らしかったし、サクロンのCMに出演していた彼女も素敵だったと思う。でもこの映画の純という役に、彼女が似合うとは思えないのだ。純は幼い頃に父親を目の前で失い、天涯孤独で生きてきた少女です。革ジャンを着て男勝りの乱暴な口を利き、いつもふて腐れたような顔をして、近づく男たちの金的を蹴り上げる。こうした荒っぽい態度は、彼女の生い立ちに原因がある。相当屈折していて、感情を素直に表に出せないのでしょう。でも宮本真希という素材そのものは、素直でひたむきで純情なのが売りに思える。だから彼女がふて腐れていると、それは本当に機嫌が悪いように見えてしまい、その裏側にある複雑な感情を汲み取りにくいのだ。

2003年4月5日公開予定 銀座シネパトス
配給:倉田プロモーション 宣伝・問い合わせ:FREEMAN
(2002年|1時間38分|日本)
ホームページ:
http://kurata-pro.web.infoseek.co.jp/

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