ブラッディ・マロリー

2002/12/20 映画美学校第2試写室
タフなヒロインがモンスター相手に大暴れする仏製アクション映画。
ヒロインがもうちょっとチャーミングならねぇ……。by K. Hattori

 日本のアニメとマンガが大好きなフランスの若い映画監督が、低予算で撮ったアクション・ヒロイン映画。この監督はかなりのオタクらしく、プレス資料に載っているインタビューには、「聖闘士星矢」「ガッチャマン」「ゴレンジャー」「キャンディ・キャンディ」「ベルサイユのばら」「キャプテン・ハーロック」はては『リング』といったマンガやテレビやアニメや映画のタイトルがぞろぞろ登場する。すっごいマニアックだなぁ……と思ったら、そもそもこの監督、名前からして「マニア」というのだから恐れ入る(監督の名前はジュリアン・マニア)。日本のオタク文化に憧れるマニア監督は、『ゴースト・イン・ザ・シェル/攻殻機動隊』や『リング』の音楽を担当した川井憲次に自分の音楽を依頼するなど、最後の最後まで日本びいきの姿勢を崩さない。立派!

 愛する男が吸血鬼だと知らないまま式を迎えたマロリーは、結婚式当日に吸血鬼に変身した夫を斧で殺害。その返り血をたっぷり浴びて以来、彼女はこの世にはびこる悪鬼やモンスターと戦う超常現象特殊部隊のリーダーとなる。数々のモンスターと戦ってきた彼女が今回挑むのは、ローマ法王が何者かに誘拐されたという事件。犯人グループを追うマロリーと仲間たちは、強力な魔力によって時空が歪んだ世界に入り込み、そこで誘拐事件の恐るべき真実を知る。

 超常現象特殊部隊のメンバーは、誰もが一筋縄ではいかない個性の持ち主だ。かつて自分の夫を斧でぶち殺したマロリーは、銃器のエキスパートで武術の達人。爆弾の専門家ヴェナ・カヴァは、元女装強盗団のリーダーだったというドラッグクイーン。口がきけずテレパシーで会話をするトーキング・ティナは、強い感応能力を使って人間・動物・魔物などに憑依する。この女性(?)3人のチームに唯一加わる男性が、ヴァチカンから派遣されたカラス神父。ところが彼はマロリーの強さと美しさに心惹かれてしまい……。

 悪役連中もそれに負けない個性を持っている。「ベルバラ」のオスカル様から衣装のアイデアを頂戴したという、恐るべき女吸血鬼カルミナ・ベラドンヌ ・レディ・バレンタイン。この狂ったお姫様演技は、映画を観るものにかなり
の緊張感を与えるはず。しかし彼女とコンビを組む変身魔女のモルフィーヌがひたすら無口なので(口がないのだ)、バランスが取れているといえば取れているようにも思える。しかしこういうキャラクターは、「ダイナマン」などの戦隊シリーズでお馴染みのものだなぁ……。なんか、懐かしいなぁ……。

 ただしこの映画、僕にはまるで面白いと思えなかった。一番の欠点は、ヒロインのマロリーを演じたロリヴィア・ボナミーが僕にはかわいいと思えなかったこと。これは非常に大事なのだ。ポール・アンダーソンの『バイオハザード』がなぜ面白いのかと言えば、それはヒロインがミラ・ジョヴォヴィッチだからだもんね!

(原題:Bloody Mallory)

2003年早春公開予定 シブヤ・シネマ・ソサエティ他
配給:ギャガ・コミュニケーションズKシネマグループ
宣伝:ギャガKシネマ、スキップ 協力:タキコーポレーション
(2002年|1時間34分|フランス)
ホームページ:http://www.gaga.ne.jp/

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DVD:ブラッディ・マロリー
関連DVD:ジュリアン・マニア監督
関連CD:川井憲次(音楽)
関連DVD:オリヴィア・ボナミー

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