Jam Films

2002/11/20 メディアボックス試写室
7人の監督による短編オムニバス映画。どれも監督の個性が見える。
個人的には『HIJIKI』『ARITA』『JUSTICE』『けん玉』が面白い。by K. Hattori

 7人の日本人監督による7本の短篇映画をパッケージした、1時間49分のオムニバス映画。参加した監督は、北村龍平、篠原哲雄、飯田穣治、望月六郎、堤幸彦、行定勲、岩井俊二。オープニングに原田大三郎が参加し、エンディングデザインの担当は奥村靫正。こうした名前を聞いて何となく胸がときめかないようでは、今の日本映画を観ているとは言えないだろうと思う。この魅力的な企画を推進したプロデューサーは、『リング』『らせん』の河合信哉。どの短編も面白いのだが、以下各作品について簡単にコメント。

 原田大三郎によるオープニングCGが終ると、いよいよ映画が開始される。トップバッターは現在『あずみ』撮影中の北村龍平による『the messenger−弔いは夜の果てで』。雰囲気はあるけど、長い映画の1シーンだけを観せられたような中途半端な印象が残る。

 2本目の『けん玉』は篠原哲雄監督らしい佳作。『月とキャベツ』の山崎まさよしが、再び篠原監督作品で主役を演じている。篠原涼子もチャーミング。

 3本目は飯田穣治監督のナンセンスSF『コールドスリープ』。これは主演の大沢たかおと角田ともみを、筒井康隆の存在感が食ってしまった。

 4本目は望月六郎監督の『Pandora - Hong Kong Leg』。主演は『皆月』で望月作品のヒロインを演じた吉本多香美。秘密の治療に来たのが若い女性だったからよかったけど、患者が男の場合はどうするんでしょうか……。

 次の5本目が今回一番笑ってしまった『HIJIKI』。監督は堤幸彦。銃を持ったまま女性3人のアパートに立てこもった殺人犯が、女たちの不幸な身の上話を聞かされるという話なのだが、この不条理感がたまらない。とにかくなぜかひじきの煮付け。なぜか天井がやたらと低い。人質がいるのに催涙弾。部屋に垂れ下がるハエ取り紙。爆笑ポイントが何ヶ所も仕掛けられていて、最後の最後まで楽しませてもらった。テーブルひとつの回りをカメラがぐるぐる動き回るというのは、『チャイニーズ・ディナー』でも使ったアイデア。

 6本目は行定勲監督の『JUSTICE』。授業で退屈した男子高校生が、窓の外で体育の授業を受けている女子生徒の姿を眺める、彼女たちがブルマのずれを直す回数を数え始めるという、ただそれだけの話。朗読される「ポツダム宣言」と映像編集のリズム、そしてブルマ、ブルマ、ブルマ! 妻夫木聡がいい。

 そして最後は岩井俊二監督が広末涼子主演で撮った『ARITA』。ヒロインのナレーションが流れ続けることで、全体がポエティックな雰囲気になった。楽しくて、ちょっぴり切ないファンタジー。

 人によってどの作品が好みかは別れそうだけれど、僕は『HIJIKI』のバカバカしさを買う。2番目は我ながら意外だが『ARITA』。3番目が『JUSTICE』。次が『けん玉』かな。

2002年12月公開予定 渋谷シネ・アミューズ、シネリーブル池袋
配給:アミューズピクチャーズ 宣伝:樂舎
(2002年|1時間49分|日本)
ホームページ:http://www.jam-films.com/

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