イノセント・ボーイズ

2002/08/12 GAGA試写室
カトリック系の学校に通う悪ガキ4人組の悪戯の行方は……。
ジョディ・フォスターが製作したほろ苦い青春ドラマ。by K. Hattori

 31歳で夭折した作家クリス・ファーマンの処女作にして遺作「放課後のギャング団」を、これが劇場映画デビュー作となるピーター・ケア監督が映画化した青春映画。物語の時代背景は1974年だが、こうした時代を抜きにしても通用する普遍的なドラマになっていると思う。映画では音楽やファッションなど最低限の要素で70年代という時代色を再現しているが、舞台の大部分が学校とその帰り道で、生徒たちはほとんどが制服を着ているため、ごく自然な成り行きとして時代色が全面に出てくることが抑えられている。

 カトリック系の学校に通う、悪ガキ4人組の物語だ。規律にうるさいシスターからいつも目の敵にされている4人は、自作のマンガの中でシスターや神父を悪役に仕立ててささやかな復讐をしている。学校の帰りに道ばたで互いのマンガの講評をし、親に隠れて酒を飲んでみたり、タバコを吹かしてみたりする。まるっきりの子供から、少し大人の世界に背伸びしてみる年頃なのだ。

 悪ガキ仲間の中でも中心になるのが、プロ級の腕でマンガを描くフランシス・ドイルと、家庭の事情で1年留年している親友ティム・サリバンのふたり。このふたりを中心に、学校のシンボルである聖女像の強奪と身代金要求の脅迫状送付、フランシスとガールフレンドの関係、シスターとの軋轢と無鉄砲な復讐計画などが綴られていく。フランシス役は『アイリス』に出演しているエミール・ハーシュ。ティムを演じるのは『マイ・フレンド・メモリー』のキーラン・カルキン。フランシスのガールフレンド、マージを演じるのは『海辺の家』や『ドニー・ダーコ』のジェナ・マローン。憎まれ役のシスター・アサンプタを演じたジョディ・フォスターは本作の製作も担当。どこかしらユーモアを感じさせせるケイシー神父役を、ヴィンセント・ドノフリオが好演している。

 ちょっとノスタルジックな雰囲気のあるローティーンの青春ドラマで、映画の前半は『スタンド・バイ・ミー』に似ていて、終盤は『マイ・ガール』に近い感じだ。悪ガキ4人組の悪戯という部分が『スタンド・バイ・ミー』をどうしても連想させるし、キーラン・カルキンの顔は『マイ・ガール』のマコーレー・カルキンをどうしても思い出させてしまう。しかもふたつの映画でカルキン兄弟が遂げる最後と、その後の親友の行動などまったくうりふたつなのだ。

 甘い青春ドラマ仕立てにはなっているけれど、それを一皮むけば残酷でドロドロとした現実が顔を見せる。現実の残酷さから逃れるために、強烈な悪戯やマンガの世界に逃避する少年たち。キーラン・カルキンの安定した芝居と、目下売り出し中のジェナ・マローンの元気いっぱいの芝居が映画に張りを与え、トッド・マクファーレンの毒々しいアニメが映画の下地を作っている。フォスターやドノフリオも、登場するとピシリと画面が引き締まります。

(原題:The Dangerous Lives of Altar Boys)

2002年9月公開予定 日比谷みゆき座他・全国東宝洋画系
配給:ギャガ・ヒューマックス共同配給 宣伝:シナジー
(2001年|1時間44分|アメリカ)

ホームページ:http://www.innocent-boys.jp/

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サントラCD:The Dangerous Lives of Altar Boys
原作:放課後のギャング団(クリス・ファーマン)
原作洋書:The Dangerous Lives of Altar Boys
関連DVD:トッド・マクファーレン
関連DVD:キーラン・カルキン
関連DVD:エミール・ハーシュ

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