13ゴースト

2002/07/30 ソニー・ピクチャーズ試写室
ウィリアム・キャッスルのB級ホラーを現代の技術でリメイク。
ビジュアルは面白いがストーリーが三流。by K. Hattori

 ジョエル・シルバーとロバート・ゼメキス率いるホラー専門プロダクション、ダーク・キャッスル・エンタテインメントが『TATARI』に続いて放つ第2弾作品。ギミック・ホラーの帝王ウィリアム・キャッスルが'60年に製作した同名ホラー映画を、F・マーレー・エイブラハム、マシュー・リラード、トニー・シャローブ、エンベス・デイビッツ、シャノン・エリザベスといった顔ぶれで再映画化している。監督は本作がデビュー作となるスティーブ・ベック。

 火事で妻を亡くし、子供たちと小さなアパート暮らしを始めたアーサーは、少し前に不可解な死を遂げた叔父サイラスから広大な屋敷を相続する。弁護士に付き添われて全面ガラス張りの一風変わった屋敷に到着したアーサーたちは、その豪華な調度に目を奪われた直後に、屋敷の中に閉じこめられてしまった。一緒に閉じこめられたラフキンという若い男によると、屋敷の地下室にはサイラスが集めた12人の凶暴なゴーストが閉じこめられているという。時間と共に次々地下牢を抜け出し、屋敷内の人間に襲いかかるゴーストたち。いったいサイラスは、何の目的でアーサーにこの屋敷を残したのだろうか? そしてアーサーと子供たちは、無事に屋敷を抜け出せるのだろうか?

 物語そのものはさほど面白くない。屋敷の秘密も、幽霊が見える特殊なメガネも、アーサーの心の傷も、物語の中でさほど生かされているとは思えなかった。この映画の見どころは、アンティーク調の巨大な屋敷と、そこに集められたゴーストたち。壁も床も天井も特殊なラテン語の呪文を彫り込んだガラスで作られた屋敷は、歯車とワイヤーの仕掛けで壁や間仕切りが移動し、迷路のようにアーサーたちを迷わせる。そして次々に現れるグロテスクな顔のゴーストたち。ある者は苦痛と憎しみに顔を歪め、ある者は絶望と悲しみのあまり完全な無表情になっている。特殊メガネを通して見える、ゴーストたちのものすごい形相には、幾度か鳥肌が立ちそうになった。

 もっともこうした恐さには、しばらくすると慣れてしまう。グロテスクなゴーストも、しょせんは特殊メイクを使った作り物。こうした見た目の恐さで観客をギョッとさせるのは数分が限界で、それ以降も観客を映画に引きつけようとすれば、やはりお話そのものの面白さが不可欠だと思う。「1スジ、2ヌケ、3ドウサ」という活動写真の大原則は、いつの時代にも変わらない映画の基本だ。この映画ではその基本が弱い。基礎体力のない映画なのだ。

 地下牢のゴーストや壁が自由自在に動く屋敷という道具立ては面白いのだから、これをもっと上手く使えばもっと面白い話は作れたと思う。ゴーストが見える特殊メガネを使ったサスペンスも、もう少しひねれば手に汗握るスリリングなシーンになったと思うのだけれど……。あとひと工夫すれば、もう少しは面白くなった映画だと思う。

(原題:THERTEEN GHOSTS)

2002年8月24日公開予定 渋谷東急3他・全国洋画系
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
宣伝:メディアボックス
(2001年|1時間30分|アメリカ)

ホームページ:http://www.13ghosts.jp/

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関連リンク:THIRTEEN GHOSTS
関連DVD:スティーブ・ベック監督

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