アメリカン・サマー・ストーリー

2002/02/27 UIP試写室
アメリカで大ヒットしたコメディ映画『アメリカン・パイ』の続編。
懐かしい顔ぶれが勢揃いしている同窓会の楽しさ。by K. Hattori

 日本では一昨年に公開された青春映画『アメリカン・パイ』のパート2。前作は高校卒業までに童貞からオサラバしようとする少年たちの奮闘を描いていたが、今回の映画では彼らも大学生になって最初の夏休みを迎えている。地元に戻って懐かしい顔ぶれに再会しても、特に事件らしい事件も起きない平凡な毎日。「思い出作りには湖畔のビーチハウスで過ごすのが一番!」と兄から聞いたケビンは、仲間のジム、オズ、フィンチに、いけ好かないが金持ちのスティフラーも加えた5人で貸別荘を借りる。アルバイトをしながら、男所帯で同じ釜の飯を食う毎日。だが女の子たちとの「思い出作り」という野望は、いつになっても叶いそうもない。最後の頼みは、最後の日に予定されている盛大なパーティーだった。

 前作『アメリカン・パイ』の出演者とスタッフが再結成した正統派の続編。脚本と製作総指揮は前作と同じアダム・ハーツ。ただし前作を監督したポール・ウェイツは製作総指揮に退き、今回は『ギリーは首ったけ』のジェームズ・B・ロジャースが監督している。原題はいかにも続編の『AMERICAN PIE 2』だが、邦題は『アメリカン・サマー・ストーリー』と少しひねってある。でもこれ、なぜひねる必要があるんだろうか。前作より公開規模が大きくなったことから、前作を観ていない客層も取り込もうということなのだろうか。でもいくらタイトルで続編臭を消しても、映画はもろに続編なんだから、前作を観ていないと登場人物の関係などがよくわからないと思うけどなぁ。まぁ僕も半分以上忘れてたけど、それにしたって「あんな事があったよね」という話が出てくれば「そうそう、あったあった」と思い出す手がかりにはなる。本作を観る前に、ビデオやDVDで前作を観ておいた方が映画を楽しめると思う。

 クスクス笑いもゲラゲラ笑いもあって十分に楽しめる映画ではあるのだが、やはり前作には及ばないできだと思う。前作は「童貞生活とサヨナラする」という明確な目的が主人公たち全員にあったわけだが、今回はそうした大きなテーマがないため、話は小さなエピソードの串団子になっているだけだ。別れた彼女が忘れられないケビン。憧れのナディアと再会する前に、セックスの達人にならなければと焦るジム。休み中は恋人のヘザーと離ればなれになってしまったオズ。相変わらず調子がいいだけのスティフラー。スティフラーの母親にぞっこん状態が続いているフィンチ。ペンキ塗りのアルバイトでセクシー美女にからかわれるエピソードなど、抱腹絶倒のエピソードもあるものの、概してエピソードはどれも小粒。でも前作を観ている人にとっては、懐かしい顔ぶれが次々に登場するのは同窓会的な面白さがある。

 エピソードがどれも小粒になった原因は、『アメリカン・パイ』のヒットで出演者たちがみんな売れっ子になってしまったからに違いない。たぶん出演者の多くは、出演シーンごとにバラバラに撮影しているはず。ヒット作の続編を作るのは、結構大変なことなんだと思う。

(原題:AMERICAN PIE 2)

2002年3月16日公開予定 みゆき座他・全国東宝洋画系
配給:UIP

(上映時間:1時間45分)

ホームページ:http://www.uipjapan.com/american-summer-story/

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サントラCD:アメリカン・パイ2
前作DVD:アメリカン・パイ(無審査特別版)

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