ノンストップ・ガール

2002/02/08 映画美学校第2試写室
『のら猫の日記』のリサ・クルーガー監督作。ヘザー・グラハム主演。
カルメン役のパトリシア・ヴェラスケスが最高。by K. Hattori

 『フロム・ヘル』『キリング・ミー・ソフトリー』など主演映画が次々公開され、日本でもすっかり知名度の上がったヘザー・グラハムの主演映画。『フロム・ヘル』や『キリング・ミー〜』の彼女はギスギスした神経質そうな女に見えて、僕自身はあまり好印象を持っていません。彼女も『ブギー・ナイツ』や『ロスト・イン・スペース』に出ていた頃は、もうちょっとチャーミングだったと思うんですけど……。でも今回の映画では、久しぶりにチャーミングなヘザー・グラハムを見ることができました。監督・脚本は『のら猫の日記』のリサ・クルーガー。「結婚したら男女は一心同体。牧師の前で誓った言葉通り、死がふたりを分かつまで決して離れることはできないのよ!」と信じるジョリーンは、カメラマンのカールと結婚して幸せ一杯。ところがその幸せは2年と持たなかった。結婚式から598日後、カールは置き手紙を残して突然姿を消してしまう。ジョリーンはさまざまな手がかりをたどって、遠いテキサスまで彼を追いかけていくのだが、そこで彼女が見たものは……。

 愛に一途なジョリーンを演じるのがヘザー・グラハム。夫のカールを演じているのは『マイ・ドッグ・スキップ』のルーク・ウィルソン。ジョリーンの弟を『200本のたばこ』『オーシャンズ11』のケイシー・アフレックが演じ、友人役に『エスター・カーン/めざめの時』のサマー・フェニックスが顔を見せる。カールの浮気相手カルメンを演じているのは、『ジャガー』と『ハムナプトラ』で男性映画ファンを悩殺したパトリシア・ヴェラスケス。その祖父役は映画監督でもあるアルフォンソ・アラウ。カールの隣人のアーティスト役はゴラン・ヴィシュニック。『のら猫の日記』で看護婦を演じたメアリー・ケイ・プレイスが、精神科医の役でワンシーン出演しているのには思わずニヤリ。この配役からもわかるとおり、ごく小規模だった『のら猫の日記』に比べると、全体にかなりボリュームアップしています。

 主人公ジョリーンの一途な行動は、離れた夫をあきらめきれないストーカーめいた行為のようにも見えます。しかしそれがテキサスやメキシコという土地に持ち込まれ、メキシコ人の占い師まで登場すると、逆にヒロインの行動こそがまともであり、それを拒否しようとする夫の行動こそが野暮ったくて場違いなものに見えてくる。この構成はなかなか面白く感じました。

 夫の浮気相手だったカルメンのキャラクターが秀逸。絶世の美女でありながら男運が悪い女。でも不実な男にはとっとと見切りをつけて、新しい恋に前向きに生きる女。これはなかなか素敵です。演じたパトリシア・ヴェラスケスにとって、『ハムナプトラ』シリーズのアナクスナムンが現時点での代表作だと思いますが、女優としてのキャリアの上ではこのカルメン役が代表作のひとつになることでしょう。カルメンの登場がなければ、この映画は「ヘザー・グラハム演じるストーカー女の話」になってしまったかもしれない。そのぐらい重要な役です。

(原題:COMMITED)

2002年陽春公開予定 シネ・アミューズ
配給:ザナドゥー

(上映時間:1時間38分)

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