レプリカント

2002/01/25 SPE試写室
ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演のアクション・ドラマ。
ヴァン・ダムは一人二役。監督はリンゴ・ラム。by K. Hattori

 ジャン=クロード・ヴァン・ダムが自分自身のクローン人間と戦う、SF的設定の異色刑事ドラマ。物語の舞台は現代で、そこにスーパーテクノロジーが小道具として紛れ込むという構成は、ジョン・ウー監督の『フェイス/オフ』に通じるものがある。ちなみに本作の監督も香港出身のリンゴ・ラム。ヴァン・ダムとは『マキシマム・リスク』を撮ったことがある監督だ。タイトルの『レプリカント』とは、映画『ブレードランナー』に登場した人造人間のこと。最初は別の原題があって、それにこんな邦題をつけたのかと思ったら、なんとこれが原題でした。レプリカントというのは、もはや普通名詞になってしまったらしい。まぁ語源は「REPLICA」+「-ANT」だから、文句を言われるようなことでもないのか。

 シングルマザーばかりを狙って殺人放火を繰り返す犯人を追っていたライリー刑事は、通称トーチと呼ばれる犯人を捕らえられないまま警察を辞職。NSA(国家安全保障局)はそんな彼に、トーチ逮捕の特別チームに加わるよう依頼する。ライリーが見せられたのは、犯行現場から採取したトーチの毛髪から培養したというクローン人間だった。やがて生まれたクローンは、思考や行動のパターンがトーチと瓜二つであることはもちろん、遺伝子レベルでトーチの記憶を受け継ぎ、精神的な感応力も非常に高い。いわばこれを人間データバンク、人間レーダーのように使って、トーチを追いつめようというのだ。ライリーはトーチと瓜二つの顔を持つクローンを憎むが、彼の教育と世話係を引き受けることになる。

 ジェイク・ライリー刑事を演じているのは、ベテランの個性派俳優マイケル・ルーカー。この人は同じようにクローン人間をテーマにした映画『シックス・デイ』では、自分がクローン人間を演じてましたっけ……。主演のヴァン・ダムは最近『レジョネア/戦場の狼たち』『ユニバーサル・ソルジャー/ザ・リターン』『ヴァン・ダムINコヨーテ』など、正直言ってあまりぱっとした作品がなかったのだが、今回の映画はなかなか面白かった。非力な女性に公然と暴力を振るって撲殺あるいは絞殺し、乳飲子をベビーベッドに入れたまま生きながらにして焼き殺すという、誰が見ても同情の余地がない悪役トーチ。一方、トーチと同じ記憶を受け継ぎながらも、真っ白なカンバスのように無垢なクローン人間。この両極端なふたりの人間を、ヴァン・ダムが楽しげに演じているのが観客にも伝わってくるのだ。

 見せ場はやはりアクションやスタントシーンだが、この映画で最大の見どころは、映画終盤にある駐車場でのカーアクション。屋内駐車場でのカースタントというのは過去にもたくさん例があるが、基本的に同じような場所をぐるぐる回るだけで芸がなかった。ところがこの映画では車高の高い車を使って、迫力満点のスタントシーンを生みだしている。天井の蛍光灯をバリバリ割りながら車が突っ走るシーンには興奮。最後のオチもきれいに決まって、すっきり爽やかな後味の映画になっています。

(原題:REPLICANT)

2002年2月23日公開予定 シネマ・メディアージュ他
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 配給協力:メディアボックス

(上映時間:1時間41分)

ホームページ:http://www.spe.co.jp/movie/replicant/

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