オーシャンズ11

2001/12/18 ワーナー映画試写室
ジョージ・クルーニー主演、スティーブン・ソダーバーグ監督。
『オーシャンと十一人の仲間』の再映画化。by K. Hattori

 『エリン・ブロコビッチ』と『トラフィック』がオスカーに同時ノミネートされたことで、名実共にハリウッド・ナンバーワンの監督となったスティーブン・ソダーバーグ監督の最新作は、ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット他、豪華キャスト競演のサスペンス映画。名うての悪党どもが力を合わせ、ラスベガスのカジノが保有する地下金庫から現金1億6千万ドルを強奪しようという痛快なストーリーだ。原作はフランク・シナトラ主演の映画『オーシャンと十一人の仲間』('60年)。

 ダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)は、たとえ転んでもただでは起きない男だ。刑務所でくさいメシを食っていた間も、着々と次の計画を練り上げていた。それはラスベガスのカジノに集まる膨大な現金を、ガッポリ手に入れようという大仕事。旧知の仲間ラスティー(ブラッド・ピット)に声をかけ、各分野のエキスパートを集め始める。スポンサー、運転とメカニックの担当、爆弾の専門家、電気の専門家、スリ、カード・ディーラー、詐欺師、軽業師まで、総勢11人の仲間たちだ。(このメンバーの中にはマット・デイモンとドン・チードルがいる。)ターゲットはカジノ王テリー・ベネディクト(アンディ・ガルシア)が経営するカジノの現金が集まる地下金庫。だがこの計画には裏があった。オーシャンの妻テス(ジュリア・ロバーツ)が泥棒の亭主に愛想をつかし、今ではベネディクトの恋人になっているのだ。今回の計画は妻を奪われたオーシャンの意趣返しなのか? 彼が本当に奪いたいのは現金ではなくテスなのか? そんな個人的な動機で、仲間たちを危険にさらすわけにはいかないと言うラスティー。オーシャンはチームを外されてしまうのだが……。

 用意周到で緻密な現金強奪計画はこの映画の見どころのひとつだが、ここには犯罪の後ろめたさや、背徳の香りを伴ったスリルはあまり感じられない。確かに大した計画ではあるが、すべてはゲーム感覚で進行する。そもそもこの計画に参加した者たちは、全員が食うに困らない程度の堅気の仕事や資産を持っている。この計画を成功させることで、どうしても金を手に入れなければ困るという人間はひとりもいない。1億6千万ドルという金額は、個人レベルでは高額すぎて抽象的な記号になってしまうほどの大金だが、じつは映画の序盤で「盗まれた金には保険がきく」という台詞も登場する。盗む側からすれば不用な金、盗まれる側からすれば盗られても懐が痛まない金。この1億6千万ドルにはシンボルとしての意味しかない。全体がゲーム感覚になるのは当然だ。

 この映画はとても面白いし楽しい。しかしその面白さや楽しさは、ストーリーが気持ちよくスムーズに流れていくところから生まれているように思う。この映画には、引っかかるところや考え込むところがまるでない。撮影技法やカメラワークなどで大小のテクニックを使いつつ、観客を導入部からラストまで苦もなく運んでいく上手さ。ソダーバーグは本当にすごいなぁ……。

(原題:OCEAN'S ELEVEN)

2002年2月9日公開予定 丸の内ルーブル他・全国松竹東急系
配給:ワーナー・ブラザース映画 宣伝:レオ

(上映時間:1時間57分)

ホームページ:http://www.oceans11.jp/

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