WASABI

2001/11/27 東宝第1試写室
リュック・ベッソン製作のジャン・レノと広末涼子共演作。
映画としてはちゃんとそこそこ面白い。by K. Hattori

 リュック・ベッソンが脚本・製作、ジャン・レノと広末涼子の主演で、オール日本ロケされたフランス映画。タイトルの『WASABI』とは、口に入れるとツンと鼻に来るあのワサビのことだ。映画の中身がサビ抜きになってなきゃいいのにと少し心配したが、なんだかちゃんと面白い。映画を観る前から「どうせダメだろう」という失望感がたっぷり漂っている映画だったから、これは意外な驚きだった。そもそもこの映画に、これほど事前のダメダメ感が漂っているのはなぜなのか。それは広末涼子が抱える個人的なスキャンダルという問題もあるんだろうけれど、それ以上に「どうせフランス人が描く日本なんて国辱的な描写になるに決まっている」という、愛国心が生み出す予期不安もあるんじゃないだろうか。

 ちなみに『WASABI』の監督は、『TAXi2』のジェラール・クラヴジック。こりゃ不安だよなぁ。『TAXi2』の忍者を見せられてしまうと、ベッソンとクラヴジックのコンビが日本を舞台に映画を撮ることに不安を感じるのも当たり前。でも僕などはどんなデタラメな日本描写があるかと身構えていたので、『WASABI』を観てもなんだか拍子抜けしてしまった。なんだかとってもまともに、現代の日本が描かれてます。もちろん風俗考証にへんてこなところは多いけれど、それは物語を進行させるために必要な「ご都合主義」の結果から生じたものがほとんど。明らかな誤解や間違いから生まれた国辱描写は、まず皆無と言ってもいい。

 ジャン・レノが演じているのは、パリ警察の敏腕刑事ユベール。彼は19年前に突然姿を消した恋人の日本人女性ミコ(この名前はちょっとわからんなぁ)を、今でも愛し続けている。ある日ユベールのもとに、日本の弁護士から連絡が入る。元恋人のミコが急死し、その遺産管理者としてユベールが指名されたのだ。日本に渡った彼は、そこで弁護士から思ってもみなかった話を聞かされる。じつは19年前にユベールのもとを去ったミコは身ごもっており、その時生まれた娘はあと2日で二十歳になる。遺産の相続人は娘だが、彼女が成人に達するまではユベールが後見人にならなければならないという。突然のことにうろたえ、親子の名乗りも上げないまま行動を共にし始めたふたり。だがユベールは残された遺産の中身を見てびっくり。なんと銀行口座には2億ドル。やがてユベールとユミの周辺に、怪しげな男たちの姿が。

 コメディとしてはかなり大味だけれど、キャラクターはどれも生き生きしていて好感が持てる。フランスでは公開週に第1位になった作品だし、できれば日本でもそこそこヒットしてぜひパート2を作ってほしい。広末演じるユミに恋人でも作って、娘の恋愛に気持ちをやきもきさせる新米の父親ユベールの姿を見せるとか、それにキャロル・ブーケが演じる女友だちのエピソードをからめていくとか、このキャラクターはまだまだいじくり回せる余地はある。『TAXi』よりパート2が面白かった前例もある。『WASABI2』に僕は期待している。

(原題:WASABI)

2002年1月下旬公開予定 日劇プラザ他・全国東宝洋画系
配給:K2、日本ビクター 宣伝:メイジャー

(上映時間:1時間35分)

ホームページ:http://www.wasabimovie.com/

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