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2001/08/24 映画美学校第2試写室
ジャンルも指向も違う短篇映画6本のパッケージ上映。
しょっぱなの『四つの部屋と〜』に大満足。by K. Hattori

 日本ではあまり紹介される機会のない短篇映画を6本集め、まとめて紹介する企画の第1弾。「シネクイント・ショート・フィルムズvol.1」と銘打っているから、少なくともいずれ「vol.2」も登場するのだろう。こういう企画は大歓迎。今後も定期的に続けてほしい。以下、上映順にざっと内容と感想を並べると……。

 『四つの部屋と六人の打楽器奏者のための音楽』(原題:MUSIC FOR ONE APARTMENT AND SIX DRUMMERS)は、アイデアと完成度の高さで大いに愉快な気分にさせてくれる傑作。住人が留守になった隙を狙って、アパートの一室に忍び込んだ眼光鋭い6人組。あらかじめ計画されていたとおりに一糸乱れぬチームワークで行動する彼らは、真っ先に台所に向かうと、そこにある食器や調理器具を使って音楽を奏で始める。そこが終わると次はトイレ、さらに寝室、最後は居間……。日常の中にある「音」を組み合わせることで、それが見事な音楽になるというアイデアそのものは目新しくないが、それをスパイ映画もどきのサスペンス仕立てにしたのが面白い。

 『メンバー』(原題:MEMBER)は『パール・ハーバー』のジョシュ・ハートネット主演の短編。車を運転しながら若い男がぶつくさ喋りまくるというただそれだけの話を、細かな映像と音楽のモンタージュだけで見せきってしまう作品。めまぐるしく変化していく映像と音楽は主人公の心象風景ということなのだろうけれど、僕自身はあまりこれにノレなかった。

 『鬘職人の日記』(原題:The Periwig-Maker)は、デフォーの「疫病流行紀」を原作にした人形アニメ。疫病を避けるため部屋に閉じこもっている男の視点から、ペストに汚染され死に絶える町の様子を描き出す。ナレーションはケネス・ブラナー。おそらく人間がそのまま演じたら陰惨で目も当てられないであろう物語が人形アニメになることで、グロテスクなユーモアを生み出す。

 『camera』(原題:CAMERA)はデヴィッド・クローネンバーグの監督作。年老いて現役を半ば引退したひとりの老俳優が、子供たちの向けたカメラに向かってひとり語りをする。ただし映画の中心は、それまでの老俳優の自問自答に費やされている。老俳優を演じているのはクローネンバーグ映画の名脇役として数々の作品に出演していたレスリー・カールソン。『ヴィデオドローム』の眼鏡屋と言えば、わかる人にはわかるかな?

 『キラー・ビーン2』(原題:The Killer Bean 2: The Party)はインターネットで大人気の短編CGアニメ。登場人物は全員がコーヒー豆。隣家のパーティの騒々しさに腹を立てたコーヒー豆が、二丁拳銃で隣家に飛び込んでパーティ参加者を皆殺しにするという物騒な内容なのだが、アクションシーンが『マトリックス』のパロディになっているなど遊び心たっぷりで笑える。

 『WAVE TWISTERS』(原題:WAVE TWISTERS)は、ヒップホップのアルバムを丸ごと1枚分、奇想天外なSFアニメにした作品。ちょっと疲れました。

2001年11月17日公開予定 シネクイント(レイト)
配給:ギャガ・コミュニケーションズKシネマグループ
宣伝協力・地方配給:アップリンク
(上映時間:1時間50分 休憩10分含む)

ホームページ:http://www.gaga.ne.jp/

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