ブリジット・ジョーンズの日記

2001/08/16 UIP試写室
レニー・ゼルウィガー主演で描く30代女性のシングル・ライフ。
このため6キロ体重を増やしたレニーの女優魂。by K. Hattori

 主人公ブリジット・ジョーンズは出版社勤務の32歳独身女性。男っ気なし。タバコと酒をやめてあと10キロやせればもう少し別の展望が開けそうだが、悪友たちとのつき合い、日常のストレス、意志の弱さ、さらに「今の私のどこが悪いのよ」という開き直りから、一向に生活は改まらない。ところが電子メールがきっかけで、ブリジットは会社の上司ダニエルと親しくなる。いよいよブリジットにも春が訪れたのか……?

 原作は'95年からイギリスの新聞にコラムとして連載されたOLの架空日記。作者であるヘレン・フィールディングは、今回の映画では製作総指揮と脚本にも名前がクレジットされている。共同脚本は『テイラー・オブ・パナマ』のアンドリュー・デイヴィスと、『フォー・ウェディング』『ノッティングヒルの恋人』のリチャード・カーティス。監督はシャロン・マグワイア。しかしこうしたスタッフ以上にこの映画で注目を集めるのは、おそらく主人公ブリジットを演じたレニー・ゼルウィガーだろう。『ザ・エージェント』で注目され、『ベティ・サイズモア』ではとうとうゴールデングローブ賞を受賞した彼女は、今回ブリジット役を演じるにあたって事前に6キロ増量して撮影に入ったという。共演はヒュー・グラントとコリン・ファース。グラントは一時期すかした二枚目路線で売っていたが、'95年に売春婦との猥褻行為で逮捕されるスキャンダルを引き起こしてからは、隙だらけの三枚目も似合ういい感じの役者になってきた。今回は久しぶりの正統派二枚目路線かと思わせておいて、途中から「ああ、やっぱり」というオチ。

 映画は主人公ブリジットのナレーションを多用した一人称の語り口。とっくに若さを売りや言い訳にできる年齢を過ぎたというのに、未だ人生の先行きを模索し、恋の相手を求めてさまよう30代女のキモチが、リアルに、しかも嫌味なく描かれている。ヒロインの性格はかなり辛辣で毒舌家なのだが、開けっぴろげでどこか間の抜けたところがあるから憎めない。周囲に向ける攻撃性と同じものを自分自身にも向けるし、自分自身を許してしまえるのと同じように周囲の状況も甘んじて受け入れる。喜怒哀楽が素直に顔に出るわかりやすさに加え、本人のナレーションでその時の気分や気持ちが説明されるのだからこれほどわかりやすい映画はない。このわかりやすさをただそのまま演じたのではただのバカ。でもレニー・ゼルウィガーがブリジットを演じることで、この役には台詞やナレーション以上の深みが出ていると思う。

 ただしこの映画、男性が観ても面白いと思えるかどうかは疑問。よくできた映画だと思うし、レニー・ゼルウィガーの演技もたいしたものだと思ったけれど、僕はこの映画に気持ちがうまく乗れなかった。映画の語り口があまりにも一人称に徹しすぎていて、そこにはまれない人にとっては取り付く島もないのです。でもうまくこの世界にはまりこんでしまった人は、主人公と自分が一体化したような感じが味わえるのかもしれません。

(原題:BRIDGET JONES'S DIAARY)

2001年9月中旬公開予定 日劇プラザ他・全国東宝洋画系
配給:UIP
(上映時間:1時間37分)

ホームページ:http://www.uipjapan.com/bridgetjones/

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