恋する遺伝子

2001/08/03 FOX試写室
アシュレイ・ジャドが恋に破れた女性の疑問を解消します!
男の遺伝子には「浮気」がプログラムされている?by K. Hattori

 人もうらやむような熱々のカップルが、さしたる理由もなく別れてしまうことがある。なぜ男と女は愛し合い、その後別れてしまうのか。運命の人だと信じた相手なのに、あっという間に別の人のもとに去ってしまうのはなぜか。別れることの心の痛みに耐えかねて、人はいろいろな理由を考える。出会って愛し合ったことが運命だったように、別れもまた運命だとしたらどんなに心が軽くなることだろう。でも古典的なこの問いかけに、明確な答えを出した人はいなかった。イギリス人の女流研究者マリー・チャールズ博士のユニークな理論が、アメリカの男性誌「M」に発表されるまでは……。

 アシュレイ・ジャド扮するテレビ局のプロデューサーが、同僚プロデューサーとの恋に破れたことをきっかけに、奇妙な論理にのめり込んでいくという物語。ヒロインのジェーンは仕事をばりばりこなし、同時に素敵な恋もしたいのだが、「なかなか出会いがないのよねぇ」と考えている現代風の女性。映画はその彼女の周辺に、対照的なふたりの同僚男性を配置している。ひとりは長く付き合っている恋人がいるのに、ジェーンに惹かれていく純情派のレイ。もうひとりはプレイボーイタイプで次々女をとっかえひっかえする「女の敵」のエディ。レイに振られたジェーンが行きがかりと勢いでエディと同居する羽目になり、奇妙な論理への傾倒という熱病状態を経て、最後は真実の愛を見つけるという物語の展開は、最初の10分ぐらいで展開が見え見えになる。しかしその「見え見えの展開」をどう切り取ってみせるかが、映画を作る側の腕の見せ所というもの。登場人物は最小限に。それでいて、登場する人物たちは魅力たっぷりに。

 この映画には悪人が登場しない。それぞれの人物達が、精一杯誠実に自分たちの目の前にある恋愛に向き合っている。その結果、時として相手から「ひどい」「不誠実」「裏切り者」と思われるような行動をとることもあるが、それだって本人に悪意があってのことじゃない。映画の中ではレイもエディも女性にとって「ひどい男」として描かれるのだが、そんな男たちもそれぞれの恋愛観に従って誠実に生きようとしているだけなのだ。

 アシュレー・ジャドは今回の映画が恋愛映画への初主演だそうで、言われてみればそうだったかな。レイ役のグレッグ・キニアは好演しているが、エディを演じたヒュー・ジャックマンの前にはかすんでしまう。ジャックマンは『X−メン』にウルヴァリン役で出演していたが、今回は怪獣メイクなしに男前の顔を披露。なかなかのハンサムガイで、今後の注目株かも。ジェーンの親友リズ役で出演しているのはマリサ・トメイ。この人は『いとこのビニー』で注目された後、主演女優としては大きく花開かないまま脇役専門の女優になってしまったのが気の毒。でも『ハート・オブ・ウーマン』に引き続き、今回もなかなか印象に残る役でした。最後のオチが僕としてはちょっと腑に落ちないけれど、トータルでは85点ぐらい付けられる楽しいラブコメです。

(原題:Someone Like You)

2001年10月中旬公開予定 スカラ座2他
配給:松竹 問い合せ:松竹、スローラーナー
(上映時間:1時間52分)

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